第2話 冒険者ギルドと賭博とお買い物

 冒険者ギルドに着いた。正面に受付があるので、そこに話しかけに行くことにした。


「カードを発行したいんですけど…」

「畏まりました。こちらの用紙を埋めてください」


 そう言って用紙を渡された。記入が必要な欄は、名前、役職、スキル、資格の4つだ。


「名前はシュナ、役職は…魔術師ウィザードでいいか。」


 問題はスキルだな。素直に全知全能と書くわけにはいかないだろう。命を狙われそうだ。それかからかわれるか。

 とりあえず、氷魔法と聖魔法を書いておくことにした。


『魔法生成を書いておくことを推奨します』

(と、いうと?)

『この先氷魔法と聖魔法以外の魔法を使う必要も出てくると思います。その際の理由付けに魔法生成はうってつけです』


 なるほど。ということで魔法生成も書いておいた。


「お姉さんは聖魔法の使い手なんですね!凄いことです」

「ありがとうございます」


 魔法生成より聖魔法の方が貴重なんだろうか。


『魔法生成はメジャーな技術ではありません。また使えたとしても初級の魔法の生成しか出来ないことが多いです』

 なるほど、そういうことなんだな。

 資格は特に持ってないから空欄でいいか。


「これでカードの発行が出来ました。ランクは1番下のFからです。依頼をこなすことで順次上がっていきます。」

「分かりました」


 テッテレー。ギルドカード〜。銅色のカードだ。これで私も1人前の冒険者だ。


「良かったにゃね」

「うん!」


 そうだ、魔晶石の換金を行わないといけない。

「すみません、魔晶石の換金をお願いします」

「畏まりました。」

 そういいながら、ギルド店員さんは測り器のようなものに魔晶石を乗せる。

「この大きさですと2000エニーですね」

「ありがとうございます」


2000エニーか。どれくらいなんだろう?

『円と同じ価値です。』

そうなんだ。分かりやすくて助かるな。


そうだ、それともう1つ。

「この辺りに賭博場はありますか?」

「賭博場は3つ隣の建物になりますね」

「ありがとうございます」


 賭博場の場所が分かった。

 なぜ賭博場の場所を聞くのか?

 なぜなら、私の金策は専ら賭博になりそうだからだ。なんたって神力で当たりが分かる。


「終わったかにゃ?じゃあ家に行くにゃ」


 賭博場も行きたいが、先に家に案内してもらおう。


「シュナは賭博が好きかにゃ?」

「好きってほどではないよ。でも必要だから」

「賭博が必要なんだにゃ…」


 不思議そうな顔をされた。

 話しながら歩くと、家についた。


「ここが私の家にゃ」


 そこそこ大きいお家だ。サーニャのお家はお金持ちなのかもしれない。


「因みに斜向かいのお家がケインの家だにゃ」


 そう言うので目を向けると、こちらも中々大きいお家。ケインのお家もお金持ちなんだろう。これだけ家が近いなら、2人は幼なじみなのだろうか?


「2人は幼なじみなの?」

「そうだにゃ」

「そうなんだ。夕飯はどうする?私、宿のお礼に作ろうか?」

「いいのかにゃ?助かるにゃ。」

「何食べたい?」

「グラタンが食べたいにゃ」

「分かった」


 ということで、夕飯を作ることが決定した。尚私の料理スキルはそこそこある。前世では一人暮らしで自炊をしていたのだ。

 レシピはサポーターのサタナに聞けばわかるだろう。


「私賭博場に行きたいんだけど、行ってきてもいいかな?」

「良いけど、道わかるかにゃ?」

「うん、分かるよ」


 なんたって神力があるからね!心の中でドヤ顔をした。


「分かったにゃ。行ってらっしゃいにゃ」

「うん、行ってきます」


 そうしてサーニャとは1度別れた。神力で道案内をしてもらって、賭博場に向かって歩いていく。


 ということで賭博場に来た。ルーレットにパチンコ、擬似競馬もあるようだ。

 やりやすいのは競馬かな。


 ということで競馬をやる。

(神力っ!どれどれ…当たりは3番のお馬さんか)

 当たりの馬に2000エニーを注ぎ込む。倍率は高めのようだ。

 競馬が始まった。3番の馬は周りをグイグイ抜いていき、一番着だった。


「当ったり〜!」


 それを何回も繰り返すうちに、私の所持金は2億エニーを超えた。


「また当たり〜!」

「またまた当たり〜!!」


 賭けた額が必ず当たるのは中々快感だ。


 ホクホク顔で札束を持っていると、お店の人が話しかけてくる。気の良さそうなおっさんだ。


「嬢ちゃん、すげぇな。」

「でしょでしょ〜!」


 まぁスキルありきではあるが。ちょっと調子に乗ってしまう節があった。


「スクラッチくじもあるんだぜ。買ってくかい?」

「買う〜!」


 どれどれ…当たりはこれか。

 その場でスクラッチをしたら、当たりが出る。


「い、1等〜!」

カランカラン!

「なに、1等だと!?」

「すげぇなぁ…俺も買おうかな」


 1等を出すと、野次が飛んだ。ふふん、凄いだろう凄いだろう。


「はい、1等の3000万エニーな」

「ありがとうございます!この辺りに銀行はありますか?」

「それなら上の階に併設されてるぜ。そんだけ当てたら持ってらんねぇもんな」

「えぇ。それと…ここ以外にも賭博場はある?」

「あるぜ。地図の…この湖の辺りで競艇をやってる。そこの近くの…東側にも賭博場がある。」

「ありがとう」


 気さくで話しやすかったので、途中から敬語も忘れてしまった。

 なぜ賭博場を移すのか?1箇所で稼ぎすぎたら出禁になりそうだし、店主にも悪いからだ。正直もう少し稼ぎたいところなので、競艇にはお世話になるだろう。


 これで賭博場に用はなくなった。ので銀行に行くことにした。


 螺旋階段を登ると、銀行の窓口がある。窓口のお姉さんに話しかけた。


「初めて利用するんですけど…」

「では、カードと通帳を作るところからですね。冒険者カードはありますか?」

「あります」

「でしたら、そちらと連携して銀行のカードが作れます。作りますね。」

「お願いします」


 しばらくすると、お姉さんが戻ってきた。手にはグレーのカードを持っている。


「こちら銀行のカードと通帳です。因みにこのカードはクレジットカードしてもお使いいただけます。暗証番号をお決めください。」

「ありがとうございます、分かりました。それで、早速使いたいんですけど…」

「畏まりました。いくらですか?」

「2億2950万エニーお願いします」

「に、2億!?どうしたんですか、そんな大金」

「賭博で当てたんですよね」

「な、なるほど、通りで。わ、分かりました。お預かりします」


 手元に残したのは50万エニーと少しだ。懐に収納魔法を施して、入れておく。私の懐は四次元ポケットなのだ。


「ありがとうございました」


 お姉さんの見送りを尻目に、銀行後にする。

 折角お金が手に入ったのだ、買い物としよう。


 忘れないうちに、夕飯の材料を買っておこう。

 脳内サポーターのサタナにお店の場所を聞く。というか、初めからこうしておけば良かったな。賭博場の場所も、サタナに聞けば分かる事だった。

 サタナに案内されて、スーパーのような所に来た。


(サタナ、グラタンの材料は?)

『はい。マカロニ、鶏もも肉、玉ねぎ、舞茸、牛乳、油、バター、小麦粉、塩、こしょう、ピザ用チーズです。尚、油、バター、小麦粉、塩、胡椒はサーニャの家にあります。』

(ありがとう)


 色々な種類があり、どれを買おうか迷ったので、神力で美味しいものを選んでいくことにした。主婦なら嬉しいであろう能力だ。

 オヤツとジュースも買っていこう。


「ふんふふーん」


 サタナと話しながら選んでいく。

(サタナ、これはなに?)

『サワーオニオン味のポテチです』

(じゃあこれも買っていこう)


 途中、神力を常に目で発動しておけばサタナに聞かなくてもいいことに気がついた。見たら分かるようにすればよかったのだ。


 そうして商品を選び終えて、お会計をした。

 よし、夕飯の買い物終わり!買ったものは亜空間にしまっておいた。時間経過も好きに動かせる優れものだ。買った時の新鮮さを保つようにしておいた。


「ありがとうございましたー」


 店員さんのさっぱりした挨拶を聞きながら店を出た。


 夕飯の買い物は終わったが、まだ買いたいものがある。財布と服だ。他にもあるだろうが今思いつくのはそれくらいだ。


 ということで財布屋さんに来た。1個8万エニーもするようないい財布が買えるお店だ。店名はGUCCO。グッコである。


 目を引いたのは、薄ピンクの財布。真ん中にGUCCOのマークがついているブランド物らしいデザインだ。可愛い。これにしよう。


「これください」

「畏まりました。贈り物ですか?」

「いえ。自分用です」

「畏まりました、10万エニーです」


 懐から10万エニーを出す。

「丁度ですね。こちら商品です。ありがとうございました」

「ありがとうございます」


 可愛いお財布をゲット出来た。次は服だ。


 近くにお洋服屋さんもあった。

 あ、可愛い、と思ったのは、肩が出ている黒のフリルワンピース。それから赤の半袖のニット、白の短いスカート。白黒チェックでリボンが付いてるトップスと、黒のスカート。他にも色々あったので、気に入ったものを端から試着して買った。

 買ったものは、また亜空間にしまった。


「ありがとうございました〜」

 店員さんの猫撫で声に見送られて、店を出た。


 後はサーニャの家に帰って夕食を作るだけだ。お買い物をしてるうちに日も傾いてきた。

 私はサーニャの家に帰ったのだった。サーニャの家は高級感があって素敵だ。とても広い。


「おかえりにゃー」

「ただいまー、夕飯作るから台所借りるね」

「お願いしますにゃあ」


 キッチンも広い、黒を基調にした大理石のキッチンだ。

 手を洗ってグラタンを作り始めた。サタナのアシストのお陰で案外簡単に作ることが出来た。サラダも作っておいた。


「美味しそうだにゃ!」

「うん、食べよっか」

「いただきますにゃ」


 サーニャと一緒に食卓を囲む。サラダは神力で選んだレタスが瑞々しい。グラタンのチーズはとろとろで、ホワイトソースのコクのある味が最高に美味しい。

 食べ進めたらあっという間に食べ終えてしまった。


「ごちそうさまでした」

「ごちそうさまでしたにゃ」


 その後はお風呂に入ってゆっくりした。

 そして買ってきたジュースとお菓子てパーティを開いた。


「こんなに買ってきたかにゃ!?」

「張り切っちゃってね」


 ちょっといいチーズとかも買ってきた。とても美味しい。

 テレビがあるので、テレビを見ながらお菓子を食べた。

 ビバ神様。こんな毎日が続けばいいのにな、と思いながら眠りについた。

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