第七話「勘違い乙女」
数日前、私は
それでも諦めきれなかった私は強引に
そこで私の
会話なんてなかった。ずっと無言だった。もそもそとお弁当を食べた。なんだこれ……気まず過ぎだろ。
それからの数日というものの、私は何も行動に起こせていない。彼の近くにいるだけで気まずく感じてしまう。隣の席だから逃げることもできず、たまには昼休みに
「うがぁぁあ……!」
頭を掻きむしりたくなる。異性ってどう誘えばいいの……!?経験値が足りないよ!!
「やっほー、怖い顔してどうしたの?」
「……ほら来たあ!」
顔を上げれば
「最近の
「出してないよ!!」
思わず反論する。
というか、
私は息を落ち着かせると机に肘をついて顎を乗せた。閉じていた目をゆっくりと開けて、嘘を打ち明ける。
「最近ハマってるソシャゲが――」
「――好きな男子でもできたの?」
「な、何言ってるの? そんなのいるわけないじゃん」
笑顔を作りながら、なんとか冷静を装おうとする。しかし、声がわずかに震えてしまったことに気づかれてしまったかもしれない。
「うーん、本当かな~?」
「だ、だから……ソシャゲの話だってば! 最近、課金しちゃってさ~」
強引に話を戻そうとするが、
「まぁ、そういうことにしといてあげるけど、怪しいよ、最近の
「そうだよ、
「べ、別に何もないってば!」
私は必死に否定しながらも、内心ではホッと胸を撫で下ろしていた。何とか追及をかわしたものの、これ以上この話題が続くと危険だ。強引に立ち上がり、机の上の教科書を片付け始める。
その最中、
「何してるの?」
「誰が意中の相手か探してる」
「……っ!」
「ちょ、ちょっと何言ってんの!?」
思わず大声が出てしまい、周囲の視線が一瞬こちらに集まった。慌てて声を抑え、顔を伏せる私。
「ほら、やっぱり怪しい!
「だ、だから何もないって言ってるでしょ! そんなことより、お昼の時間無くなっちゃうよ!」
私は無理やり話題を変えようと、教科書やノートを鞄に詰め込みながら立ち上がった。時計をちらりと確認すると、まだ昼休みの終わりまでは時間があるけれど、もうこれ以上二人に詮索されるのは耐えられそうになかった。
「ほんとに何もないの?」
「ほんとにないってば! だから心配しないで、ね?」
できるだけ穏やかな声で言いながら、私は二人に背を向けた。少しでも早く教室を出たかったからだ。背中に感じる視線が刺さるようで、心臓がバクバクと早鐘を打つ。それでも、ここで振り返るわけにはいかない。私はそのまま教室を出て、廊下へと足を向けようとしたとき――
――背後から椅子を押して立ち上がる音、そしてこちらに近づく足音が聞こえた。丁度私の背には
足音はすぐに止む。音的に私のすぐ背後だ。私は恐る恐る振り返った。
「わっ、た、
振り返った先には
「い、いや、ちょっと話したいことがあって……」
私は、
「何の話?」
「最近……その、授業でわからないところがあって、ちょっと聞きたかったんだけど……」
「え゛っ……!」
その言葉を聞いた途端、胸がぽっ、と温かくなった。
案外私って信用されてる?というか
驚きのあまり声を出せずにいると、「……ご、ごめん、やっぱり」と不安そうに
「――だ、大丈夫!!!」
反射的に答える。ほとんど叫ぶような答え方で、先程以上に注目が向いたような気がする。けれどその声が少し弾んでいたことに自分でも気づいた。
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