第四話「もしかして、催淫されてる?」
しかし、最近はそんな日常も崩れ去ろうとしている。右の席の
これに対し
――良くない、これは非常に良くない。
もちろん孤独が安らぐため嬉しいという気持ちは
できるなら、純愛がしたい。
下心や、催淫関係なしに、まともな恋愛がしたい。貞操観念が逆転してしまったこの世界だがその心は変わらない。
――ま、そんな人間いると思えないけどね。
腕枕をして顔を埋める。完全防御の布陣だ。これなら誰も話しかけてこないはずだ。
が、その時。
「……なに?」
「ねぇ、
「なんで?」
「ううん、なんとなく。一人で食べるのも寂しいしさ、もし良かったら一緒にどうかなって」
「……俺は、一人でいいよ」
冷たく突き放すように言ったが、
「そっか。席も近いし良いと思ったんだけどなあ。別に無理にとは言わないけど、もし気が向いたら、一緒に食べようね」
一緒にご飯を食べることくらい、普通のことかもしれない。それでも、
結局、昼休みが近づくにつれて、
やがて、昼休みが始まる。教室にはランチボックスやパンを取り出す音、そして友達同士が楽しげに話す声が満ちていた。
「……やっぱり、行かない方がいい」
彼はそう自分に言い聞かせ、再び顔を伏せて、持参したおにぎりを取り出した。だが、そのおにぎりを見つめる手が、いつもよりも少し重く感じた。心のどこかで、
「……」
周りの生徒たちは、それぞれのグループで楽しそうに会話しながら食事をしている。そんな中、彼は自分だけが取り残されているように感じてしまった。
彼がそうして考え込んでいると、ふと気配を感じた。顔を上げると、目の前に
「こっちから来ちゃった」
「……何でそこまで?」
「うーん……どうしてだろうね。なんか、
彼女の言葉が本当なのか、それとも何か別の意図があるのか。
「……」
ふと気になって
「…………」
――案外、可愛いし……。
それが素直な感想だった。顔に少しだが熱が籠もる。これはもしや、リア充という奴ではないか。可愛い女子と二人っきりでお昼ごはん。見ようによってはカップルか?
けれどそれでは
ハッとして周りを見渡す。罰ゲームの線を考えたが指示を出したと思われる生徒はいない。余計に分からない。
「あ……」
あった。一つだけ存在していた。
――
濃厚な説だった。催淫というのは
もし
――確かめなければ。
この資料を元に言うとまず第一、催淫にかかった人物は
「うーん……」
まぁ、いいや。
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