第二話「地味男、始めました」
――この世界は貞操観念が逆転している。
それは自分、
元々
そんな矢先だった。
貞操観念が逆転したばかりである中学生の頃、変わってしまった日常に戸惑いながらなんとか学生生活を送っていた。幸い友人関係は変わっていなかったが、友人達の考え方が明らかに以前とは違っており絡みづらくなっていた。
結果、
そんな
――あれ、なんか顔が赤いし、早口じゃない?こんな感じだったっけ……?
明らかに情欲の色が伺えた。女子達は
そうしてある日起きた朝の時。鏡を見ると……そこには小ぶりな翼と尻尾が生えた自身の姿があった。しかし一瞬の出来事だった。瞬きをした次の瞬間には消えていた。手で探ってもそこには何も無く、空を切るだけだった。
そしてその日、
「
「実は、私、ずっと前から
「ごめん、今忙しくてそれどころじゃ……」と
「どうして?どうして私の気持ちを受け入れてくれないの?」
異常な出来事だった。あんな目に合うのはもうこりごりだった。だから必死になって調べた。研究をした。
その行き着いた先が、
これが
――だからこうやって、昼休みに一人黄昏れて本を読んでいるってわけ。
これはある種大事なムーブとも言える。高校に進学して間もないが、印象というのは最初が肝心なのだ。ここで、
だと思っていたのに。
「…………」
ずっと見つめられている。隣の席の
実は一度声をかけられたことがある。その時は無視をしてやり過ごした。声もちいさかったし、ハッキリと名前を呼ばれなかったからだ。しかしこうも連続で見つめられるとは……。
どうしてこうなる?
彼女は一見スマホをいじっているように見えるが、
――無視しよう。
だが、
ふと、
「ねぇ、
その言葉が発せられた瞬間、
「……何か用?」
冷静を装いながら、
「ごめんね、ずっと見てたから気になっちゃって……
予想外の質問に
「いや、別に……何も悩んでないよ」
「そう? でも、
彼女の言葉に
「そんなこと……ないけど」
「もし何か困ってることがあったら、私に相談してね。いつでも力になるから」
そう言うと、
彼は自分が孤立していることで安心していた。しかし、
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