第2話 水星

「はじめまして水無瀬さん、私、暮星ルナっていいます。これからよろしくね」

 一瞬で注目を集めることに成功した。最初はあの『水星』に話しかけるなんてどんなバカなんだという驚きで視線を集めたが、次の瞬間、あの暮星ムーナそっくりの少女が目の前にいるという驚きに変わった。私はとってもご満悦だ

「あなたが、暮星ルナさんなんですね、噂には聞いていましたし、今からお兄様にお世話になりますので、存じ上げておりました。ですが、噂以上に暮星ムーナに似ていますね、事務所での評価も高いと聞きますし、あの伝説をもう一度見れると思うと、胸が高まります。」

 すっすごい、想像以上のお嬢様だ。この私が気圧されてしまっているだと、

「私も人気女優の水無瀬さんと話せると思って、ドキドキしたました。水無瀬さんタメで話していいですか?しずちゃんって呼んでいいですか」

 どうだ、この挨拶勝負に勝つのは私だ、渾身の陽

キャオーラどうだ。

「……」

水無瀬さんが驚いた顔をしている、やったぜ、私は挨拶バトル無敗なのだよ、勝負を挑んだ時点で負けが決まっている(勝負を挑んだ人はこっち)

「いいですわよ、それではわたくし新入生代表挨拶よ準備があるので、そちらへ向かわせていただきたいと思います。それでは仲良くしましょうね、瑠奈さん、それと、ここにいる人たちを頼みました。」

「ありがとう、しずちゃん。えっ、ここにいる人を頼む?待って」

しずちゃんは行ってしまった。くそっ、勝負に勝ったのに戦いに負けた、ここにいる人々を任されてしまった、いくら才能があるとはいえ、私、ファンへの対応を知らないの、友達への対応は知ってるけどね

 そして私は大勢の人々の質問を捌いていって、教室に着いた頃にはへとへとになっていた。

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