第1話 入学式 

今日は星叶学園せいとがくえんの入学式の日だ。私たち双子はアイドルを目指しているので芸能科に入る。この学校ではもうすでに芸能活動をしている生徒が多数おり、していない生徒は少々憂き目を見る、私たちも芸能活動をまだしていない。といっても、お姉ちゃんと同じ事務所に所属し、レッスッンを5年以上行っている。しかし、基本この事務所では15,16までは下部組織で育成が行われ、その後デビューすることとなっている。であるので、ゆっくり夢を追いかけているわけでも、売れていないというわけでもない。話を戻そう、私たちはデビューしていないのに憂き目を見ない理由それは、暮星家の人間であるからだ。どうだ、すごいだろう。

「ね、天」

「いきなりなんだよ、瑠奈、こっちはこっちで考え事してたんだから、急に話しかけてくんなよ、そもそも僕は、何に対して同意しなければいけないんだよ。

「私たち双子が顔も良くて、歌も上手いこと。」

「事実だけどな、そんなこと大きな声で言うと、嫌われるぞ。」

「じゃあ、小さな声で言う〜」

「そういう意味の大きな声じゃない、というかお前時計見てるか?」

「ん?」

「早く食べろよ、入学式早々近くかもしれない。」

「ふぁんふぉだ《ほんとだ》」

「食べながら喋るな、お前はいいな、俺は入試で全ての科を通しての主席をとったから、新入生代表挨拶をする必要があるんだよ、その分お前は楽でいいな。おっと、本当に遅刻しそうだから先に行くぞ」

「待って、一緒行く、私パン咥えながら行く。」

「なんでだよ」

「入学式っぽくていいでしょ」

「ドヤるなバカ」

「チュ、可愛くてごめん」

「うぜえ、殴りそうになった。」

「みなさん、この兄、優顔イケメンなんですけどdv男なんです。」

「まじで殴ってやろうか」

「そしたら、dvの証明になるよ」

「うぜえ」

「そうでしょ」

渾身のドヤりをかましてやった。どうだ、天はどんな反応するかな、いつも通り話を逸らすだろうな。

「瑠奈、前みろ」

ほら見た、話をずらしたよ、このお兄様、前見ろだって、これはもしや、入学式の日にパンを咥えた少女がイケメンとぶつかるってやつなのでは、そう思い私は前を向いている。そこには、私が想定したものはなかったが、よりすごいものがあった。

「人だかりだね、なんだと思う天?」

「十中八九、今年の新一年生だろうな、なんせ、国民的スターいわゆる、天才の卵たち《ステラエッグ》が8人もいるんだからな、それに加えて、俺ら双子で10の幸運テンスクローバーとか教師や先輩、保護者たちに言われているらしい」 

 天才の卵たち《ステラエッグ》とは各世代8人の天才のことを指す、地球と月を除いて太陽から海王星まで一人一人に二つ名が割り振られる、お姉ちゃんは才能がありすぎて、月の二つ名を得ていた。

「10の幸運テンスクローバーってかっこいいね、挨拶それにしよっかな、『みんな、はじめまして、10の幸運テンスクローバーの一人、輝くお月様2世、暮星ルナだよ〜』みたいなっ、私めっちゃ可愛くない‼︎‼︎」

「うるさい、声が聞こえないだろ」

「声って?」

「集まってる人たちの声だよ、それを聞くことでその真ん中に誰がいるのかわかる。」

「ふーん、お兄ちゃん、またつまらない特技手に入れてるね。」

「お前の状況に合わせて、俺をお兄様って呼ぶか、お兄ちゃんってよぶか、天って呼ぶか区別する能力より実用性はあると思うぞ」

「うるさい、で、誰かわかった?」

「当然だよ。どうやら、『水星』水無瀬静香、クールなイメージがある演技派女優だな、確か、俺と一緒に代表挨拶をするみたいだ」

「そうなんだ、まあ、天、がんばってね」

「せめて、心から頑張ってって言えよ、俺は今から準備があるから、騒ぐなよ。」

「もちろんだよ、お兄様」

「一瞬で心配になったよ、また教室でな」

「うん」

そして私は天がいなくなったのを確認した。やった、天がいるとできないことしちゃお、そうだ、この人混みの中に突っ込んで、水無瀬さんに挨拶しよう。

「すみません、通ります」

私は人と人の間をするすると抜けていって、水無瀬さんの一番近くまで来ることに成功したのだ。

「はじめまして水無瀬さん、私、暮星ルナっていいます。これからよろしくね」




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