2話 懐かしい夢

「おい!早く鞄持ってこいよ!」


「ゴミ新!モタモタすんなよ!」


「ご、ごめん。」


新は五人分の鞄を持って走った。


「汚したら殴るからな!」


ボスの岩井 成太(いわい なりた)がそう言った。


「おら!早くしろよ!」


自称ボスの右腕の上田 優(うえだ ゆう)が言った。


なんでこんなことをするんだよ。

なんで…。

なんで僕がこんな目に…。


きっかけは些細なことだった。

岩井の好きな人が新と家が近かった。

ただそれだけだった。


「この事を心ちゃんに言ったら許さないからな!」


「分かってるよ…。」


心ちゃんとは新の家の隣に住んでいる妻木 心(つまぎ こころ)の事だ。

心ちゃんは昔からモテていた。

幼稚園の頃からよく告白されていた。

でも、新には何がいいのかよく分からなかった。


岩井が心に告白すればいいのに。

それで付き合えばもうこんな仕打ち受けないのに。


新はただひたすら耐えるしか無かった。



どうやら寝ていたらしい。

辺りは真っ暗で静まり返っていた。


確かこれは、小学生の頃の……。


「夢か……。」


走馬燈だったら良かったのに……。


新は小学生の頃にいじめられていた。

でもそこまで辛いものでは無かった。

脅されて、カバンを持たされているだけで、殴られたのは1回だけだったからだ。

………。

それ以上に辛かった事があった気がする。


……そういえばあいつ、岩井に似ているような…。

……まあいっか。


新はまだよく回らない頭で飲み物を取りに行った。

新は水を飲みながら明日のことについて考えた。


あいつ確かクラスメイトって言ってたな…。

どこの席なんだろう。

話しかけられると面倒だな。

……。

今日はもう遅いから寝るか。


新は、シャワーを浴びた。


明日はどんな方法で自殺しようかなあ。

飛び降り自殺とかどうだろう。


新はそんなことを考えながら眠りに着いた。

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