【詩】時計の針

路肩のロカンタン

お前は本当にお前なのか、根源的な爆発だけを頼りに私はひとり、宇宙を揺蕩う風


街の底から言葉をサルベージ

それは呪詛でもなく、祝福でもなく

ただの言葉言葉言葉言葉言葉言葉


まるで心に石膏を塗りたくり

また引っ剥がす作業のようさ

三連符、凌辱されたリズムで

ツータッタ、ツータッタ、反吐チックトク


雪駄で踏み潰す痰塗れの路上

人間顔の豚、豚顔の人間

言葉に爛れた気管支で賛美歌を歌う

僕は何も出来ずに

都市型公園のベンチに座っている


停滞……

その間、ずっと……


糞尿の流れる下水から

勿忘草の咲き誇る天界まで

僕の意識は乱高下を繰り返して

蛆虫から天使にまで変貌している


時計の針が

文字盤を犯す瞬間を見たことがある

2時の文字が傷心のあまり消え去って

8時の文字は毒牙にかけられず安堵する


されど毎秒、暴発する意識革命!

敷石とビーチを同時に玉砕する核爆弾

ニンジャとヤクザと女子高生の街

極彩色の広告が彩るビルディング


数多の匿名が静脈を流れて

面会謝絶の意思決定が動脈に噴き出してゆく

片手に握った四角いハイテクノロジーは

名前も知らない草花の馨香のよう


人と豚とアンドロイドと稀少な天才の群々

湿度の敷き詰められた居住空間

情念そのものには質量がなく

ただその空気をドス黒く染め上げるに留まる


何処からか吹く

旋毛風に煽られて

鼠に羽根が生えて

空高く飛んでいった


時計の針が

文字盤を犯す瞬間を見たことがある

2時の文字が傷心のあまり消え去って

8時の文字は毒牙にかけられず安堵する


僕は神様を見ている

僕は神様を知っている

僕は神様を見ている

僕は神様を知っている


拡散する飛び散る砕けて笑って

収斂する留まる持ち堪える突っ立って

情報情報情報情報情報情報情報情報

時間時間時間時間時間時間時間時間

急げ急げ急げ急げ急げ急げ急げ急げ

走れ走れ走れ走れ走れ走れ走れ走れ

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