【詩】時計の針

路肩のロカンタン

頭の中で声がする


街中から呪詛のフリースタイル

雪駄で踏み潰す痰塗れの路上

詩人は皆、喉を患って

言葉に爛れた気管支で歌う


糞尿の流れる下水から

フリージアの咲き誇る天界まで

僕の意識は乱高下を繰り返して

蛆虫から天使にまで変身する


時計の針が

文字盤を犯す瞬間を見たことがある

2時の文字が傷心のあまり消え去って

8時の文字は毒牙にかけられず安堵する


毎秒暴発する意識革命

敷石の下はビーチ!

ニンジャとヤクザと女子高生の街

極彩色の広告が彩るバベルの塔


数多の匿名が静脈を流れて

面会謝絶の意思決定が動脈に噴き出してゆく

名前も知らない草花の馨香に誘われて

また鞄の中の錠剤を磨り潰した


人とアンドロイドの群々

湿度の敷き詰められた居住空間

情念そのものには質量がなく

ただその空気をドス黒く染め上げるに留まる


ビルの間から吹く

旋毛風に煽られて

鼠に羽根が生えて

空高く飛んでいった


時計の針が

文字盤を犯す瞬間を見たことがある

2時の文字が傷心のあまり消え去って

8時の文字は毒牙にかけられず安堵する


僕は神様を見ている

僕は神様を知っている

僕は神様を見ている

僕は神様を知っている

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【詩】時計の針 路肩のロカンタン @itmightaswellbespring

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