ここが勝負の分かれ道

「うーん、デザインは良いけど色がねぇ」



 私は着こんだ水着を姿見の鏡で見ながら唸る。


 肩紐の無い、両の胸を首へ引っ張り上げるタイプの水着はデザインは良い。

 たわわな胸が水着に包まれて持ち上げられるようなデザインは大きなおっぱいでないと出来ない表現だからだ。

 おっぱい好きの優馬として見ればこれはぐっとくるはず。


 しかし、色がなぁ。


 ワインレッドは渋めではあるが実は大きな胸にはあまり合わない。

 肌の白さよりもワインレッドの色が強調され過ぎる。



「とりあえず保留ね」


 言いながらブラを取り、自慢の「D」カップをぶるんと震わせる。

 この柔らかさとボリュームをうまく表現できるかどうかが肝となる。

 

 私は次に黒の水着を着て見る。



「これは有りだけど、ちょっと地味かな?」


 白い肌に黒のコントラストが良い案配だけど、色が濃すぎて水着としてのデザインがあまり目立たない。

 一応装飾もあるけど、ブラの恰好は普通。

 これではせっかくの胸が強調出来ない。



「優馬が思わず触りたくなるようなやつじゃないとね」


 そう言いながらまたまた着替える。

 最後は紫の色っぽいやつ。

 下を穿いて、ブラをつけるのだけど……



「あーダメね、これは。肩紐が一つの斬新なデザインだけど、その分胸を引っ張り上げるために谷間が見えなくなっちゃってるのは意味がないわね」

 

 色っぽさはあるけど、それは全体的でしかもスタイルが良い女性で無いと合わないやつ。

 もちろん私には合うけど、今回は思わずこの「D」カップの胸を揉みたくなるような水着でないといけない。

 優馬がこの姉に欲情するくらいのやつでないと!



「となると、他のを見繕うか……」


 そう言いながら私は水着姿のまま外に出て店員さんに言う。


「このまま他二着を試したんですが、良いですか?」


「あ、はい。良いですよ」


 一応断っておけばこの姿で出歩いても文句言われないだろう。

 私は水着姿のまま外に出て他の水着を見ていると、なんか視線を感じる。

 ちらっとそちらを見ると、男の子たちが遠目でこちらを見ている。


 ふっふっふっふっ、そうでしょう、そうでしょう。

 この私の水着姿が拝めるだなんて光栄に思う事ね!


 ちょっとサービスで二の腕で胸をぎゅっとすると、遠目の男の子たちはみんな前かがみになる。


 そうよ、優馬だってきっと姉の胸にメロメロになるわ!


 私はそう確信をしてまた水着を物色するけど、白地の水着に目が行く。

 取り上げてみたそれは、なかなかに胸を強調するけど、フリルが付いている。それも、先端にまでかかる様な。


「悪くはないけど、今更フリルとかはねぇ……」


 しかし実際にそれを手に取って私は気付いた。



「こ、これはっ!!」




 私は早速それを持って試着室へと向かうのだった。


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