一瞥体験は僕には当分訪れそうにない

仲瀬 充

一瞥体験は僕には当分訪れそうにない

手酌てじゃくで飲んでるんだが」

「了解」

電話をかけてきた鷲尾氏とは高校の時から年金暮らしの今にいたるまでもう半世紀の付き合いだ。家を出てしばらく歩けば二人の行きつけの居酒屋が見えてくる。『手酌』という店名は50がらみのマスターが一人でやっているので十分に客の相手ができないということなのだろう。暖簾のれんをくぐると鷲尾氏がカウンターに陣取っている。

「刺身とおでんに熱燗か、いいね」

「悪かったな、こんな遅い時間に。今日は俺のおごりだ、マスター、さかずきをもう一つ」

電話口の声は暗かったが会えばいつもの鷲尾氏だ。遠慮なくご馳走になろう。

「うまい、焼酎もいいが刺身には日本酒だね。ところで2か月たらずで正月だけど君んとこは近くに娘さん一家もいるしおせち料理を作るんだろう?」

「それがどうした?」

「おせちをつまみに盃を傾けるのは最高じゃないか。こっちは一人身だからお呼ばれしたいと思ってさ」

「おせちの準備どころか女房は実家に帰るかもしれん」

鷲尾氏の顔が曇った。聞けば今夜は夫婦げんかをして飲みに出てきたとのこと。

「女房ときたら何が気に入らないのか毎日のように俺のアラ探しをして文句を言いやがる。今日も何かあるかね?って嫌味を言ってやりたいくらいだよ。腹に据えかねてるところに今日の晩飯のおかずがブリのアラ煮ときた」

「ほう」

「だもんでつい口が滑っちまったんだ。魚屋でもアラを探したのかってな」

「あらー」

「ちゃかすなよ」

「君も同じじゃないか。里子ちゃんは怒ったろう?」

「むくれたむくれた。一口しか食ってないのに取り上げてシンクのコーナーに捨てやがった」

その場の情景がありありと目に浮かぶ。

「里子ちゃんは気が強いからね。それは承知で一緒になったんだろう?」

「ここまでとは思ってなかったよ。お前は見抜いていたから手を引いたんだな。俺はプロポーズした時お前に申し訳ないと思ったんだぞ」

手を引くも何も彼女とは実家が隣りどうしで僕にとっては昔も今も幼なじみの里子ちゃんに過ぎない。

「そんなに夫婦仲がギスギスしてるのは浮気か何かやらかしたのかい?」

「いいや、何の覚えもないから頭にくる」

「じゃ修復の余地ありかな。こんな話を知ってるか、結婚相手を探す時に人は遺伝子的にかけ離れた相手を選ぶんだってさ。優秀な子孫を残すための本能なんだそうだ」

「ふうん、似た者どうしと違って拒否反応が起きそうだがな」

「臓器移植にたとえると分かりやすいかもしれない。他人の臓器を移植すると免疫細胞が異物だと認識して攻撃しようとする。そこで免疫抑制剤という名の酒を投与して『そう固いことを言うな』と免疫を酔わせるんだ。それと同じで異質な者どうしのカップルは恋愛という名の酒を飲んであばたもえくぼに見えるくらい酔っぱらってしまう。ただ残念なことに子孫を作り終えると酔いが醒めていくんだね」

「ってことは、元々かけ離れた二人だっただけに酔いが醒めると険悪な仲になりゃしないか?」

「うん、僕はそう解釈してる。そして世の奥さんが完全にシラフに戻るのが旦那の定年退職時だ。こうなると旦那はうとましいだけの粗大ゴミさ」

「飲んでる酒までまずくなる話だな。旦那が死ねば奥さんは減額された遺族年金を受け取ることになるんだから旦那を大事にするのが本当だろう」

「旦那が死ねばその分食い扶持が減るんだから減額されるのは当然さ。もし減額されないならそのほうが怖い。旦那の不審死が確実に増えると僕はにらんでいる」


鷲尾氏は盃をカウンターに置いてため息をついた。

「実はな、娘まで女房の感化を受けてるんだ。孫を連れてこの間遊びに来たんだがたこ焼きを買ってきてた。俺も一つ二つもらおうとしたら露骨に嫌な顔をしやがった。フーフーして孫に食べさせようとしても『虫歯がうつるじゃない!』って怒られるし。そりゃ虫歯菌の飛沫感染もあるかもしれんが親にそこまで言うか?」

「四面楚歌だね。でもまあ野生動物でも群れからはじき出されるのはたいていオスなんだよね」

言ったすぐ後で慰めにならないことに気づいたが鷲尾氏は気にするふうはない。

「さっきのお前の説だがな」

「ん?」

「惚れたれたの熱が冷めたら仲が悪くなるって話さ」

「それが?」

「それが本当なら元々かけ離れた二人が無理に一緒にいるより他人どうしに戻る方がよっぽどいいってことにならないか?」

「そうだよ。それを君に言いたかったんだよ」

「おいおい、思いつきの理屈を言っただけだ。速攻で賛成されるとは思わなかったぜ」

「実際に離婚するんじゃなくて他人だと思って過ごすのさ。君は家事は何か手伝ってるかい?」

「いや何も。洗濯物を取り込んでも畳み方が違うとか、何をしても文句を言われるんでな」

「最近は家事代行サービスが大流行りだよ、食事作りや掃除やいろんなコースがある。君の場合は家事全てを家政婦さんにやってもらってるケースだ」

「夫婦なのにそんなふうに思えるもんか」

「ほら、それがいけない。自分の妻だと思うから不満が出る。君が離婚したりあるいは里子ちゃんが先に死んだりして年取ったらどうする? 老人ホームに入るかヘルパーさんを頼むかだろう?」

「まあそうだな」

「老人ホームはけっこうな金がいるし家政婦さんを雇うのも君の場合は大変だ。365日、土日も祝日も食事を作ってもらって掃除や洗濯もっていう契約になるんだから」

「ううむ、理屈はそうでもやっぱ自分の女房だからなあ」

「じゃ厳しいことを言うけどね、その甘ったれた傲慢さがブーメランみたいに里子ちゃんや娘さんのしうちとなって戻ってきてるんだよ。君は江戸時代の農民みたいなもんだ」

「江戸時代の農民?」

「生かさぬよう殺さぬよう」

「おい、そこまでひどい扱いは受けてないよ」

「こうでも言わなきゃ君は危機感が持てない。いいかい、里子ちゃんに話しかける時には心のなかでまず『奥さん』と呼びかけて派遣された人妻の家政婦さんだと思うんだ。たったそれだけできっと変化が起きる。無理にでも笑えば楽しくなるって話もあるからだまされたと思って試してみろよ」

「バツイチのお前に言われてもな、まあ一応やってはみるけど」

鷲尾氏は気乗りしないようすだったが後日会った時の顔つきはたいそう晴れやかだった。

「お前のアドバイスは役に立ったよ。『奥さん』って心の中で呼びかけてから話に入ると他人を相手にしている感じがして新鮮なんだ。気づかいも言葉づかいも優しくなって自分でもびっくりだよ」

「里子ちゃんの反応は?」

「わけが分からずとまどってるみたいだが前ほど文句を言わなくなったことは確かだ。この間はうっかり『奥さん』と口に出してしまって焦ったがね、ハハハ」


上機嫌の鷲尾氏の相手をした数日後、今度は里子ちゃんから『手酌』に呼び出しがかかった。

「久しぶりね連城くん。積もる話はおいといてうちの旦那のことなんだけど時々このお店で飲んでるんでしょ? 何か変わったことない?」

「と言うと?」

「近ごろ変なのよ、私が何かしてあげると『ありがとう』って言ったりして。これまでブスッとしてばかりだったのに。『これ美味しいですね』なんて他人行儀な口をきいたりもして気持ち悪いの。そうそう気持ち悪いっていえばこの間なんか私のことを『尾久おくさん』って旧姓で呼んだからギョッとしたわ。認知症が始まったんじゃないかしら」

里子ちゃんの旧姓を忘れていた僕は飲みかけの盃の酒をあやうく噴き出すところだった。慌てて鷲尾氏のフォローにかかる。

「認知症なら僕のほうが危ないよ。昨日なんか漬物を買って帰ったらまだ前のが残ってた。鷲尾は恋人時代に戻った気分になってリフレッシュしようとでも思ってるんじゃないかな。里子ちゃんのほうはどうなの?」

「うーん、顔を合わせるだけでなんかイライラするのよね。倦怠期はとっくに通り越したし、芸能人の誰かが言ってた夫源病かも」

「フゲンビョウ?」

「夫が原因で妻が知らず知らずのうちにうつ病みたいになる病気。私もぼうっとしててふと気づくと別居を考えてたりする」

「君たちは結婚してからもクラブで仲良く飲んだり踊ったりしてたろう?」

「昔だからクラブじゃなくてディスコやスナックね。子供が生まれるまではよく行ってたわ」

「その頃に戻ればいいじゃないか」

「想像するだけでゾッとするわ、旦那と飲みに出かけるなんて」

「それなら家をスナックだと思えばいい」

「どういうこと?」

「さっき別居を口にしたけど若い女性が離婚して生活のために水商売に入るのはよくあるパターンだ」

「うん、それで?」

「僕はスナックに行くとそういう子たちによく言うんだ。嫌な酔っ払いを毎日何人も接待するより家で旦那一人を相手にしてたほうがよっぽど楽だったんじゃないかってね」

「嫌味なお説教ね、ただでさえ年寄りは嫌われるのに」

「説教じゃないよ、旦那を嫌い続けるのは本人も辛いだろうし哀れじゃないか。見ず知らずの客だと思って過ごせば別れるほどの憎しみは生まれないだろうってことさ」

「理屈はそうかもしれないけどバツイチの連城くんに言われてもね」

「こんなテクニックはどうだい。旦那を前にしてまず『お客さん』って心の中で呼びかける。その後で話し始める習慣をつければいい。鷲尾が変わりつつあるなら里子ちゃんもこのやり方で乗っかってみれば。君、高校の時は演劇部だったじゃないか」

「そうか演技をすればいいのね。面白そう、やってみようかしら。はい、お客さんおひとつどうぞ」

里子ちゃんは自分の盃の口紅を指の腹で拭ってから僕に寄こした。

「僕を接待してどうするんだ、予行練習かい?」

「ふふ、私、連城くんと結婚してたらどうなってたのかな」

流し目で僕を見て酒をつぐと里子ちゃんは席を立った。


里子ちゃんが店を出た後、僕はカウンターごしに盃を差し出した。

「女ってのは怖いね。マスター、一杯いこう」

「ちょうだいします。でもみごとに鷲尾さんご夫婦の仲を取り持ちましたね」

「ちょっと後ろめたいけどね」

「どうしてです?」

「うまく丸め込んだだけのような気がしてさ。あの二人は自分たちが作り上げる虚構の中で生きていくことになる。虚構と言えば聞こえはいいけど言い方を変えれば嘘で塗り固められた世界だ」

「ごちそうさまでした。でも連城さん、終わりよければ全てよしで結果がよければかまわないじゃありませんか。世の中には事実のほうが取ってつけた嘘のような話もありますよ」

マスターは返盃した後、真逆の話題を持ち出してきた。

「事実なのに嘘みたいだって?」

「うちのお客さんの話です。連城さんも知ってるはずですが髪が真っ白な人がいるでしょう?」

「ああ、あの人ね。話したことはないけど現役みたいだから見かけほど年じゃないんだろう?」

「ええ、私よりいくつか上ですが同じ50代です。伏見さんといって私立高校の先生ですがストーカーまがいのことをやっているんです。それも若い男性相手に」

警察に話さなくていいのかと危ぶむ僕にマスターは首を横に振る。

「伏見さんは息子さんと二人暮らしだったんですが息子さんは大学を卒業すると家を出て県北の会社に就職したんです。それが2年前のことで、2年前の県北地域と言えばあの豪雨」

「まさか?」

「住んでいた借り上げ社宅に土石流がなだれ込んで亡くなったそうです。伏見さんの髪が白くなったのも時々うちに来るようになったのもその頃からです」

「つらい酒だったろうね」

「でも段々落ち着きました。ところがですね、2か月くらい前にひきつった顔で飲みに来たことがありました」

「どうしたんだろう?」

「息子さんに会ったと言うんです」

「ええーっ!」

「私もびっくりしてくわしく聞きました。そしたら事実は小説よりも奇なりだったというわけです」

「じらさないでくれよ」

「ここからちょっと離れたコンビニに新しく入った店員さんです。ただ亡くなった息子さんと違うところが二つあって一つは頭を金髪に染めていたこと、もう一つは伏見さんが支払いを終えた時『アリガトゴザイマス』とまるで外国人みたいな日本語で言ったそうです。それでピンときたと伏見さんは言いました」

僕はますますじれったくなった。

「いったいどういうことなんだい?」

「伏見さんは職場恋愛で結ばれて結婚するとすぐ双子の男の子が生まれたんだそうです」

「ということは奥さんも先生?」

「英語の先生だったのが出産を機に学校を辞めて駅前の英会話スクールの講師になったそうです。ところがそこのアメリカ人講師と恋仲になってアメリカへ」

どうやら筋書きが読めてきた。

「伏見さん夫婦は別れる時に双子を一人ずつ引き取ったってことか」

「でしょうね。伏見さんはしょっちゅう仕事帰りにそのコンビニに寄って夕食を買ってるみたいです。それでうちには余り見えなくなりましたが。後をつけて住んでるアパートも確かめたそうです。あ、噂をすれば」


暖簾をくぐって入って来た伏見氏はカウンター席の一番奥に座った。

「こう寒いと赤ちょうちんの暖かい光が嬉しいね。マスター、焼酎をお湯割りで。あとおでんを適当に見つくろって」

「手ぶらですね、コンビニには寄らなかったんですか?」

「今日は外から覗いただけ。毎日だとあんまりだから」

「いいじゃありませんか、ご自分の息子さんなんでしょう?」

「間違いないとは思うんだけどね。どうして日本に戻ったのか、母親はどうしているのか、何も知らないんだ。おやそれは?」

伏見氏はマスターが着ている紺色の作務衣さむえに目を止めた。

「気づいていただけましたか。前のと似てますが新調したんです」

胸のあたりに「無事是好日」と縦に白く染め抜かれていて伏見氏はその言葉が気になったようだ。

無事是好日ぶじこれこうじつか、人生それが一番かもしれないなあ」

マスターはあごを引いて自分が着ている作務衣の字を見た。

「これ、どんな意味なんですか?」

伏見氏はしばらく考えてつぶやいた。

「ふるさとは遠きにありて思うもの……みたいなことかな。余計な波風も立たないし、」

助けを求めるようにマスターが僕を見た。するとマスターにつられて伏見氏も顔を向けてきたので僕は当たりさわりのない話題に変えた。

「最近、朝晩は冷えますね」

「ええ、私は秋が好きなんですがいつのまにか冬に入ってしまいました」

「僕も秋にイチョウやナンキンハゼの並木道を歩くのが好きです」

「いいですね、紅葉の下をコートの襟を立てたりなんかして歩けば風情がありますね」

「ああ、やっぱり季節の話はいい」

独り言のような物言いをしてしまったので僕は話を続けた。

「季節や天気の話は知らない者どうしが話すきっかけにうってつけですよね。僕、つらなるしろと書いて連城といいます。しがない年金暮らしです」

伏見氏は飲みかけていた手を休めて僕に会釈えしゃくした。

「じゃ一回りくらい先輩だ。私は伏見、伏見稲荷ふしみいなりの伏見で高校の教員をやってます。ところでさっきの話ですが日本に四季があればこそですよね。常夏のハワイだと季節を話題にしようがない」

「『毎日暑いですね』なんて挨拶も多分しないでしょうね。マスター、熱燗もう1本頼む」

「私も日本酒にかえようかな」

「承知しました。季節や天気と言えば伏見さん、昼間雨がぱらついてましたけどあれ時雨しぐれですか?」

「うん、秋から冬にかけての風物詩だね。降ったかと思えばすぐ止む一時的な雨だから時雨ときあめって書くんだ。俳句では初冬の季語だよ」


伏見氏は国語の先生だろうかなどと思いながら聞いていると伏見氏は僕に向き直った。

「初冬と言えば連城さん、さっき私、秋が好きだと言いましたが今ごろの季節もいいなあと思うようになりました。以前は冬空は嫌いだったんです。青空がのぞいていても汚れたような色の雲が切れ切れに浮かんで寒々として」

「分かります。冬の低い雲ってどうして下の方が黒いんでしょうね、陰鬱な気分になります。今日みたいに時雨が降ればなおさら」

「ええ、道行く人たちも背中を丸めて。でもですね、寒々しさの中にかすかに華やぎみたいなものを近ごろは感じるようになりました。自分でも不思議です、どうしてなんでしょう」

季節の話題を持ち出したのは僕なので知らん顔をするわけにはいかない。先日鷲尾氏とおせち料理の話をしたことを思い出した。

「言われてみれば思い当たる節があります。年の瀬や正月に向かう心の急ぎが関係しているんじゃないでしょうか」

僕の推理に伏見氏は両手をぱんと打ち合わせた。

「なるほどなるほど、そうかもしれません。小さかった頃はクリスマスや正月が近づけばワクワクしてましたね。いやあ今日はお話しできてよかったです。この店にはずっと以前からいらっしゃっているようですね」

「僕は若い時に離婚してずっと一人なんです。それで自炊が面倒な日はここで晩酌もかねて晩ご飯を」

「そうでしたか、私も今は一人暮らしです」

僕はふと昨日のことを伏見さんに話してみたくなった。

「昨日は自炊しようと思ってスーパーに総菜を買いに行きました。漬物も切らしてたので白菜の漬物を一袋買ったんです」

「はい」

「ところが帰って冷蔵庫を見たらたくあんがまだ半分ほど残ってました。しまったとも思ったんですがちょっと豊かな気持ちになりました」

「はい」

「白菜は僕は葉の部分が好きなんでなるべく茎が少ない袋をさがすんです。値引きのシールが貼ってあればなお嬉しいんですけどね。で、買って帰るとたくあんがありました。漬物を2種類食べられると思った時思わず『ぜいたくだなあ』と声が出てしまいました。ただそれだけのことなんですが妙に心に残っているんですよ」

「はい。年下の私が言うのは僭越せんえつですが、生きるということは多分そういうことで十分なんじゃないでしょうか。今ごろの季節感と同じでわびしさの中にかすかな華やぎがあるような」

僕はやっぱり話してよかったと思った。こんな話に付き合ってくれる人はめったにいない。

「だからこそ得られる幸せもあるということですね、気分がすっきりしました。ただ正月くらいは子供の頃のようにワクワクして迎えたいですね」

正月の華やぎと言えばおせち料理。今度の正月には久しぶりに鷲尾氏と里子ちゃんの家庭に招かれたいものだ。コンビニでもおせち料理の予約受付が既に始まっている。伏見氏が息子さんのノルマの助けに予約してあげるとしたら申し込み票に自分の氏名を記入することになる。それを目にした息子さんはどんな反応を示すだろう、父親の名を母親から聞いているとすれば伏見氏の日常にドラマが生まれるのではないか。そんなことを思いながら徳利を傾けると酒が入っていない。

「マスター、徳利が空っぽだけどもう11時だから看板だね」

「いいですよ遠慮なさらずに。もう1本おつけしましょう。伏見さんもいかがですか?」

ためらう伏見氏に僕はマスターの作務衣の話題を持ち出した。

「伏見さん、『無事是好日』もいいですがちょっと踏み出してみませんか?」

伏見氏はにっこりと笑った。

「分かりました、ではもう1本だけ」


12月も下旬に入ったある日、僕は『手酌』へ出かけた。店に着くとタクシーに乗り込む3人の客をマスターが愛想よく見送っている。タクシーが出るとマスターは僕にも気持ちのいい笑顔を向けて店の中へいざなった。

「年末は繁盛だね」

「おかげさまで」

「一人じゃなんだから鷲尾を呼び出そうかな。最近来てる?」

「昨日ご夫婦でお見えになりました。あ、そういえばお二人から連城さんに伝言が。正月はおせちを食べにいらしてくださいとのことでした」

「ふうん、夫婦仲良くやってるみたいだね。昨日来たのなら今日は呼べないな。正月に押しかけるとするか。元旦はここも休みだろうから行くとこないし」

「ええ。実はそのことなんですが……、あ、いらっしゃい」

つまみを注文して焼酎のお湯割りに口を付けたところへ入口の戸が開いて伏見氏が入って来た。

「伏見さん、よいところへ。一人で飲むしかないかと思ってたところです」

「それはよかった、私も同じです。お久しぶりです」

カウンター席に並んで飲み始めると入口が開いて4名の客が来店。僕らの後ろの椅子席に座ってビールで乾杯した彼らは仕事のぐちや上司への不満などをにぎやかに話し始めた。広くはない店なので背中ごしに話が聞こえてくる。聞くともなく聞いていた僕は思わずつぶやきを漏らした。

「ああ、実に普通だなあ。すごくいい」

「いかにも居酒屋という感じですね」

僕の独りよがりの感想に伏見氏は同調してくれた。やはり伏見氏とは波長が合うようだ。そこで僕はめったな人には共感してもらえそうにない話を持ち出すことにした。

「僕は近ごろインスタグラムで日本や海外の街並みとか路地裏、それに田舎の風景などを好んで見ています。何の変哲もないスナップ写真なんですが我ながら不思議に思うほどどの写真もずっと見ていられるんです。普通っていいなあとつくづく思いながら。その心地よさはいいなあとしか表現できないんです。あえて言えば懐かしいに近いんですが」

「先だってお会いした時のお話と通底するような感じですね、興味深いです」


伏見氏の反応に気をよくした僕はさらに幸福についての持論も聞いてもらうことにした。

「最近、幸せって何だろうとよく考えるんです。すぐに浮かぶのは気心の知れた人間と旅行に行くとか飲むとかですが僕のような貧乏人はお金が続きません。だからと言って我慢して次善の策を考えるのはみじめですから別種類の幸福があるんじゃないかと考えて日常生活の価値を見直すことにしました。今あげた旅行や飲み会の本質は興奮であって一生をそれで過ごせば酔生夢死すいせいむしです。実際、毎日飲み続けて楽しさが持続するとも思えません。それに対して日常生活には興奮の対極の安寧あんねいとか静謐せいひつとかいう種類の幸福が潜んでいるように思うんです。旅行や飲み会の最中に家にいればよかったとか帰りたいと思った経験は誰しもあるんじゃないでしょうか。それは楽しいはずの外出、退屈の代名詞のような日常、この二つの価値の逆転です。さっき話した何でもない写真にしみじみ感じ入るのは人間の営みの普遍性とでもいうようなものを味わっている気がするんです。同じ写真でも名所旧跡や雄大な自然はすごいなあとは思いますがそれほどかれません。それは普遍ではなくて特殊な一過性の興奮に過ぎないからでしょう。こんなつたない幸福論を生き方に落とし込んでみた結果、1日1日を丁寧に生きるのが一番幸せな人生ではないかという結論になったんです」

伏見氏がところどころで相槌を打ちながら耳を傾けてくれるので気分よくしゃべりすぎてしまった。マスターも客の酒や料理の注文をさばきながら僕の話を聞いてくれているようだ。

「すみません、長くなってしまって。今度は伏見さんの幸福論を聞かせてもらえませんか」

そうですねぇと伏見氏は少し考えてから口を開いた。

あしたに道を聞かばゆうべに死すともなり。生徒に教える漢文ですがご存じですか? 論語に出てくる孔子の言葉なんですが」

やはり以前推測したとおり伏見氏は国語の先生だった。

「いいえ、どんな意味なんですか?」

あさに道を聞くことができればその日の夜に死んでもかまわない。この場合の道は人としての大切な道とか真理とかいうことです。私はこの文の意味を、真理を悟ったらもう生きる必要はない、そんなふうに解釈しています。生老病死の四苦をはじめ人間の苦のほとんどは肉体があることから生じるのでしょうから」

「すると伏見さんは真理を求めて生きたいと?」

「私は孔子みたいな聖人じゃないのでせめて一瞥いちべつ体験ができればと願っています」

「イチベツ? ちらっと見るという意味の一瞥ですか?」

「そうです。一瞬だけ宇宙の真理を悟る体験のことでネット上で検索するとワンネスとか覚醒とかも言うようです」

「その体験をするにはどうすればいいんでしょう」

「スピリチュアルな世界に深入りするのは抵抗があるのでよく分かりません。私が心がけているのは連城さんがさっきおっしゃったことと同じで毎日を誠実に生きることだけです。その結果、いつか一瞥体験が訪れるといいなと」


僕と伏見氏が話しているうちにテーブル席の客が店を出た。マスターは外に出て見送った後、暖簾を店内にしまった。もうそんな時間かと腕時計を見ると閉店の11時にはまだ間がある。

「今日は早めに店じまい?」

伏見氏も気になったようだ。

「いえいえ、ごゆっくりなさってください」

カウンターの中に入ったマスターは小ぶりのアジの南蛮漬けが2尾ずつ載った皿を伏見氏と僕に差し出した。

「これはサービスです、よろしかったらどうぞ」

「やあ、これは嬉しい。私の母が作っていたのと同じだ」

素揚げしたアジの南蛮漬けは確かに美味しそうだ。伏見氏に続いて僕も箸を手にした。

「僕のうちもこうだったな。スーパーなんかで売ってるのは口に合わないんだ。衣を付けて揚げてあって三杯酢も薄口醤油で甘ったるくて。マスター、ありがとう」

お口に合えば幸いですと言うとマスターは自分用のビールとコップを持って僕らの横に座った。L字形のカウンターなので並んで座っている僕と伏見氏に角を挟んで斜めに相対する格好になる。

「私も話のお仲間に加えていただければと思って暖簾をしまったんです」

「あ、そういうことだったの。じゃマスターの話を僕らは食べながら聞かせてもらおうかな」

「はい。私の実家はわりに裕福だったのですが父が早死にした後は落ちぶれて私もぐれてしまいました。連城さんや伏見さんはお若い頃まじめに勉強されて大学まで行かれたんでしょうが私は高校を中退して親戚の居酒屋に預けられ長年こき使われました。数年前に何とかこの店を開きましたが調理師免許も持たない素人商売です。時にはお客さんどうしが喧嘩になることもあります。親類縁者も今はみな亡くなって頼れる人間もいません。こんな暮らしを自業自得だとは思ってもごく最近までずっとモヤモヤしていたんです。自分は何のために生きているんだろうと」

いつもに似合わないマスターの真摯しんしな話しぶりに僕は興味を惹かれた。

「最近までということは、何か心境の変化でも?」

「人生の意味を考えるのは不幸の始まりとか言いますがものは考えようだと思ったんです。自分をさげすんでみじめな気持ちになるような考え方は確かに不幸の始まりです。私の長年のモヤモヤも現在の自分を過去や他人と比較するから出てくる愚痴です。客どうしにしたってお互いに自分が正しいと思っているから口論になるんじゃないでしょうか」

そうだね、と伏見氏が同調した。

「年を重ねるにつれて人は経験値が上がる。失敗すれば反省して自分の考え方を修正もしていく。その結果、年をとればとるほど自分の考え方が正しいという方向に凝り固まっていくんだよね」

「はい、ですからお互いに譲らず喧嘩になるんでしょうが目の前の一人さえ説得できないんですから自論が絶対的正義のはずはないんです。うまく言えませんが正しいものの考え方というのは今、伏見さんがおっしゃった凝り固まる方向とは逆で拡散に向かう気がします」

「なるほど、なるほど。対人関係で言えば一視同仁いっしどうじんというところか、マスターも鋭い。『分かる』という言葉は『分ける』『分かれる』と語源が同じなんだ。人は生きていくためにいろんな物事を分かろうとするけれどもそれをとする立場からすれば混沌こんとんとした状態はマイナスという評価になる。だけれども見方を変えれば全てが混然一体となったプラスのありようとも言える」

ここで伏見氏は僕に顔を向けた。

「その混沌は連城さんが平凡な写真から感じ取る普遍性とも共通するように思います」

僕は頷いたものの伏見氏の話は入り組んで難しくなってきた。そこでマスターがまだ語り足りないようすなので彼に話の続きを促すことにした。

「マスターの方向性は分かったけど、具体的な生き方としては?」

「それがはっきり言葉にできないでいたのですが何気なく見たYouTubeにヒントをもらいました。若い主婦が昼食だか夕食だかの準備をしている短い動画でした。食材をまな板の上で切ってフライパンに入れたり、ごく普通に調理しているだけなんですが目の前の作業を淡々とこなす姿を見て、これだ、これでいいんだ!と感動しました。そんな生き方をさっき連城さんと伏見さんが、1日1日を丁寧に生きる、毎日を誠実に生きる、と表現してくださったので嬉しくなってお話の仲間に入れていただいたんです」


伏見氏が焼酎のコップを持ち上げた。

「じゃ、期せずして私たち3人の人生観が一致したということで乾杯といきますか」

異議なし!と僕もコップを持ち上げ、3人でコップのふちを合わせた。

「今日、店先でマスターを見た時、なんかさわやかな感じだったのはそういう心境の変化があったからなんだね」

「丁寧に暮らそうと心がけてからはいろんな気づきがありました。道が光るのもそうです」

道が光る? 僕はオウム返しに尋ねた。

「舗装道路はダイヤモンドの細かい粒子をばらまいたかのように路面のあちこちがキラキラと光って見えるんです。小さい頃は奇麗だと思って見ていたのに大人になってずっと目に止まらなくなっていました。逃げ水を無邪気に追いかけていたことも思い出しました」

「そう言えば僕も舗装したてのアスファルトに雨が降れば油分ゆぶんが虹色に光るのに見とれていたな」

マスターの話に触発されて小さい頃を思い出した僕はハッとして伏見氏を見た。

「伏見さん、小さい頃の思い出の懐かしさは僕がさっき語った写真を見て感じるものと同質のような気がするんですが」

が希薄な幼い頃ほどピュアに人は普遍的真理につながっているんじゃないでしょうか。連城さんが何気ない景色の写真をずっと見ていられるというのは私の望む一瞥体験に近いのかも知れませんね、羨ましいことです」

ここでマスターが遠慮がちに口を挟んだ。

「連城さん、写真を見ていい気持ちになるなら実際に現場に立てばもっとすばらしい体験になるんじゃないですか?」

僕はこの素朴な疑問が嬉しかった。

「僕もそう思ってね、インスタグラムで見た景色のうち行ける範囲で実際に何か所か出向いたことがあるんだ。結果は散々さんざんだった。リアルさに圧倒されてしまうんだね。大げさに言えば戦場に立っているようなもので、現場の自然や人間など自分を取り巻く環境に対峙たいじする緊張感で抽象的な普遍性など消し飛んでしまったよ」

「それは安寧が脅かされる不安なんでしょうね。自分の安全や利益を確保しようとする動物的本能が働くんでしょう」

伏見氏の補足はいつも的確だ。

「写真と現実の違いを対人関係にあてはめてもみました。赤の他人との付き合いがどのようにも割り切れるのに対し身内との関係は生活の細部にまで煩わしく絡みついてくるようなものでしょうか。自宅でくつろいでいる時と他家を訪問した時との気分の違いにも似ています。そんなふうに考えると僕が写真を見ていいなあと思うのは現実逃避の高みの見物に過ぎないのかもしれません」


今日はどうも僕がしゃべりすぎるきらいがある。伏見氏が気乗りする話題がほかにないだろうか。すぐには思いつかないので本人に下駄を預けよう。

「僕ばっかり話しているようですみません。伏見さんも最初、今日は何か話したいことがあるようにおっしゃってませんでしたか?」

「はい」

話を始める前に伏見氏は「マスター、ご馳走さま」とたいらげた南蛮漬けの皿をカウンターの前の台に載せた。「いいえ」と目礼したマスターも伏見氏の話を待っているようだ。

「連城さんはここからちょっと離れた3丁目のコンビニにいる私の息子のこと、マスターからお聞きになりましたか?」

プライベートに関することなので僕はどう返事したものかと思っているとマスターが小さく頷いたので安心した。

「はい、あらましだけは」

「それなら話が早いです。正月のおせち料理の予約数にノルマがあるらしくて今日が締切日だったんです。それでさっき行って注文票に必要事項を記入して渡したら息子がハッとして私を見たんですよ。それだけのことなんですけど気持ちが高ぶってしまってまっすぐ帰る気になれずこちらに寄ったんです」

マスターが私の左隣りの伏見氏の方に勢い込んで上体を傾けた。

「息子さんはその予約票の伏見さんの名前に反応したんですね! それでどんなお話をされたんですか?」

「いや、ほかのお客さんがレジに並んだもんだから話はできなかった。それにねマスター、おせちは2セット予約したんだよ。だから息子は私の名前じゃなくてそっちに反応したのかも知れないんだ」

伏見氏の返答にマスターががっかりしたようすで黙ったので僕が今後の展開を尋ねた。

「じゃ、親子の名乗りは先延ばしになりましたね。この先、どうなさるつもりですか?」

「さあ、なるようにしかならないでしょう」

そう言うと伏見氏は笑みを浮かべてコップの焼酎を一口飲んだ。僕は感心した。「なるようにしかならない」という言葉をポジティブに感じさせられたのは初めてだ。伏見氏は以前に僕より一回りほど年下と言っていたから50代半ばなのだろうが僕以上に落ち着きがありしかもそれを嫌味に感じさせない慎ましさも併せ持っている。僕はもう一つ気になっていることを聞いてみた。

「息子さんのおせち料理のノルマは伏見さんの2個で全部けたんですか?」

「いえ、私が予約する前に聞いたら残りは4個ということでした。いくらなんでも一人暮らしで4個予約するわけにはいきませんから2個にしたんです」

僕がマスターに目くばせすると彼も頷き返した。時計を見ると11時過ぎで予約締め切りまであと1時間弱。

「伏見さん、おせちの予約はまだ間に合いそうです」

「私も商売上の参考に一つ注文します」

僕が立ち上がるのとマスターが立ち上がるのは同時だった。

結局、3人で連れだってコンビニに向かった。そして僕とマスターが店内に入って1セットずつ予約すると伏見氏の息子さんは僕らに何度もペコペコと頭を下げた。店の外の伏見さんは駐車場にいて僕らに頭を下げている。何事もなるようにしかならないと達観している伏見さんも人の親なのだなと思うと僕は胸が熱くなった。


僕ら3人はコンビニの前で散会して帰宅することにした。

「よいお年を」

僕とマスターは途中まで同じ方角なので伏見氏に別れの挨拶をした。飲みすぎたせいか足元がおぼつかない。火照ほてった頬に冷たい夜風が心地よい。今日は楽しい飲み会だった。僕の幸福論によれば飲み会は一過性の興奮に過ぎない。しかし普遍性を脇に置いて現実の人間関係にどっぷりかって一喜一憂するのもそれはそれでいいのではないか。そう思った時に一つのアイデアがひらめいた。元旦はマスターを誘って二人で鷲尾夫妻宅を訪問しよう。里子ちゃんのおせちの味付けに少し不安がつきまとうが。何年か前にお呼ばれした時に僕がするめやピーナッツ類ばかり食べるので里子ちゃんににらまれたことを思い出した。僕はおせちの味に泣かされたが天涯孤独のマスターは誘われる人情に泣くのではないか。

「マスターは正月は何か予定があるの? 無ければ、」

一緒に鷲尾宅に年賀に行こう、そう言おうとして僕は口をつぐんだ。なるようにしかならないでしょうという自然じねん流とも呼ぶべき伏見氏の言葉を思い出したのだ。僕がここでマスターを誘うのは人為的なあざとさということにならないか。そんな思いがきざして僕は口に出かかった言葉を飲み込んだのだ。すると急に黙った僕を意にかけずにマスターが言った。

「正月のことですが鷲尾さん夫妻から連城さんへの伝言を頼まれた時に言われました。店が休みならマスターも連城さんと連れだってどうぞと。それを言おうとしたら伏見さんが入って来られたので尻切れトンボになってしまいました」

なるようにしかならないというのはこういった行き違いも含めてのことなのだろうと僕は得心とくしんした。

「じゃ、時間の打合せは電話でまた。今日はここで」

「お休みなさい、よいお年を」

マスターと別れて歩き出したがすっかり酔いが回っている上にだだっ広い住宅街なのでどこを歩いているのか分からなくなった。辺りを見回していると赤色灯を点けてゆっくり走っているパトカーが近づいてきた。おそらく年末のパトロールだろう。不審者扱いされては面倒だ。こんな時は先手を打つに限る。タクシーを停める時のようにパトカーに手を挙げた。

「あの、すみません」

助手席のパワーウィンドウが下がった。

「なにか?」

「ここは3丁目のようですが2丁目はどの方角になりますか?」

警官は窓から腕を出して僕が進むべき方角を指さしてくれた。礼を言って歩みを進めると見覚えのある通りに出た。無事に帰り着くことができたが玄関に入ったとたんに笑いがこみ上げた。「朝に道を聞かば夕に死すとも可なり」、伏見氏が教えてくれた漢文を思い出しておかしくなった。孔子と違って僕は夜に道を聞いて自宅にたどり着いただけだ。伏見氏の言う一瞥体験は僕には当分訪れそうにない。

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一瞥体験は僕には当分訪れそうにない 仲瀬 充 @imutake73

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