7話
「…じゃあ、彼女に囮になって貰うほかないわね」
「…えっ?」
「…実際、ああやって”死神”は姿を現した。それを君も見たんでしょ。」
愕然とした。この人は今、人の想いにあやかって自分の任務を遂行するために月見さんを犠牲にしようとしている。
「待ってください!月見さんにそんな事させるなんて……!」
思わず立ち上がってしまいそうになった時、彼女は言ったのだ。
「……渡くん」と優しく諭すような口調で語りかけてきたのである。
その声からは有無を言わさぬ圧力のようなものを感じ取ってしまうほどだった。そして同時に彼女の瞳からは強い意志のようなものも感じられたのである。
僕は何も言えずに黙り込んでしまった。そんな僕を見て三上さんは静かに語り始める。
「これはね……私たちにとってはとても大事な事なんだ」
と真剣な眼差しでこちらを見つめてきた。その迫力に気圧されてしまいそうになるものの何とか踏みとどまることに成功すると、僕は黙って話を聞くことにした。
「…君たちの想いが本物なら必ず会える」
そう言って彼女は僕の手に何かを握らせた。見てみるとそれは小さな鍵だったのだ。
「これは……?」
「屋上の鍵。万が一の為の、スペースキー。」
無駄に妖艶な笑みが、僕の脳裏に焼き付いた。
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