第7話 司令vs初代艦兵
「…親友、なんで怨骸化したのだ。私達は…ボロボロでも良いから人であるお前と再開したかったと言うのに」
…えっ、俺はまだ怨骸化してないぞ?って言おうと思ったがそう言えばゲーム開始時だと怨骸武装を扱うのは怨骸のみだったな…今後ストーリー上での技術の進歩によって怨骸武装も運用できる様になるんだった。
「…親友。本当にごめん…私じゃ力不足かもしれんが、君を再度沈めて見せようじゃないか。
…ミラ、起きて。仕事の時間だ」
そう言って身に付けていた艦兵武装:ミラを起動させる識別No.5、個体名:令奈。
個体名に司令の令が入っている通り、司令をする艦兵として生み出された少女だ。
…そして、司令でありながらも艦兵としての実力は上位にあたる。
「…っ、砲撃開始っ!」
「起きろカタリナ、戦闘の時間だ」
『はい、マスター』
飛んできた砲弾を具現化した剣で切り飛ばす。…ふむ、令奈の強さはそこまで変わってないらしい。
にしても陸上戦か…艦兵も一応陸上戦は出来るのだが、魚雷とかが封じられるのが痛いんだよな。陸上専用武装さえあれば結構自由に戦えるのだが。
「やっぱり化け物に…!でも、せめて私が弔ってやらねばっ!」
そう言って砲撃をしながら近づいてきて、艦兵武装:ミラ特有の近接武器であるハルバードを振り下ろしてくる。
「落ち着け令奈、俺は無事だ。怨骸化もしていない」
ハルバードを剣で受け止め、冷静に…出来るだけ優しげな声を心掛けて声を掛ける。
「嘘をつくなっ!じゃあその髪色は何なのだ!その瞳の色は何なのだ!その手足は…その武装は…!
…っ!人型の怨骸の特徴、そのものじゃないか…!」
サッとバックステップをすると共にこちら側に魚雷を投げてきたのでそれらをバックステップで回避。爆発した魚雷によって土埃で視界が遮られるが…レーダーがあるから居場所は分かっている。令奈もこちらの姿を認識しているらしく、絶えずに砲弾が降り注いでいる。
「…だから落ち着けって言ってるだろう!」
降り注ぐ砲弾を切り伏せ、フックを発射して令奈の武装の一部に引っ掛けて一気にこちら側へ引っ張り、捉えた顔面を鷲掴みにして地面に叩きつける。
…荒っぽくて申し訳ないが。うん、話を聞かない方が悪いって事で。
令奈の武装をカタリナで抑え付け、令奈の上に馬乗りになる。そして両手を頭の上で抑え付け、令奈の目を見る。
「クッ…殺せっ!私は怨骸なんぞにはならんぞ…!例え親友であるお前の誘いであっても、絶対に…!」
「なに何処ぞの女騎士みたいなセリフを吐いてるんだよ令奈」
「………すまん、忘れてくれ。…じゃない!離せっ!貴様の思い通りになぞなってたまるか!」
……うーんクッ殺適正⚪︎だな。まさか令奈にこんな才能があるとは…どうだい?姫騎士令奈の受難で一筆。
まぁそんな事は置いといて…どうしようか、これ。説得出来るのかねぇ。今だって令奈は俺の下で「離せ!はーなーせー!」と言いながら暴れている。
「なぁ、どうすれば俺が怨骸化してないって認めてくれるんだ?」
「うぅ…そんなの私じゃ判断できんぞぉ…」
「それは困ったな…」
本当に困った。こうなると無害の証明としてずっとこの体制でいないといけないかもしれない。一応艦兵は休止モードになっとけば一ヶ月は生命維持は出来るが…流石に辛いんだよなぁ。
「…まぁ、しょうがないか」
「何がしょうがな———ウムッ!」
抵抗を諦めてジッとしている令奈に覆い被さる。俺は令奈が認めてくれるまで無抵抗でいよう…ちなみに覆い被さったのは休止モードに入ったら身体の自由が効かなくなるからだ。なんか令奈を下敷きにする感じで覆い被さってしまった。
…さてと、暇だし寝るかぁ。
「んー!ん〜〜…んーっ!」
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令奈side
(こいつ…休止状態に入りやがったな?)
まさかのまさかが過ぎる。
ゆっくりと自室で待ってると唐突に怨骸の襲撃警報が鳴って武装を着けて待ってたら親友の怨骸と化した姿が見えて軽く絶望してしまった。
だけども戦わなければと思い戦ったが…まぁ勝てる訳もなく押し倒され、今の状態に。
………重い。
「…んー………」
艦兵武装:ミラ自体はそんなに出力が無いし、カタリナと比べるとほぼ全ての面が劣ってると言える。それに全体的に優秀な装備である怨骸装備だ…私が太刀打ち出来る存在では無いのだ、今私の上に居る此奴は。
…うーん、正直親友が言っていた怨骸化していないってのを信じたい。信じたいが…信じれない。だって見た目が完全に人型の怨骸だし、放ってる圧は明らかに今まで出会ってきた怨骸と違うのだ。一目見た瞬間身体が硬直したほどだ。
(…私だけで判断して言い訳が………ん?)
そう言えば…私は大陸流しに遭った身だ。つまりは人の組織に属して無い完全フリーな艦兵と言う事となる。
…別に判断する必要はないし、親友が怨骸化してても私が死ぬだけだ。…なんだ、別に問題ないじゃ無いか。
私の持ってる機密狙いと言う線もあるが、親友ならば普通に機密も沢山知ってるから私自身を狙う必要も無いだろうし…うん、なんか抵抗する理由が無い気がしてきた。
……そう、だな。もうなんかどうでも良いや、今は親友が帰ってきてくれた事に喜ぼう。それになんか眠くなってきた…
懐かしいな…司令となり不安に押しつぶされそうな時、よく親友にはこうやって一緒に横になってもらった物だ。この匂いは落ち着くな…
…流石に覆い被さられたのはビックリしたけどね?
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