第5話 怨骸化艦兵武装:カタリナ
「グッ…がぁっ……!」
身体が作り替えられるかの様な感覚に陥りながらも、それに耐え続ける。大丈夫だ…怨骸どもの砲撃に比べればまだ痛くないはずだ。
そんな痛みに耐える事数十分。痛みが引いていくと共に脳内でとある機械的な声が聞こえてきた。
『…識別No.1である事を確認。お帰りなさいませ、マスター。
報告、身体の再構築に伴い識別No.を変更致しました。今のマスターの識別ナンバーは0、です。また、新たな個体名を設定することを推奨致します』
…個体名、個体名ね…生前の名前も今世での名前も二人の人格が混ざった今の俺からしたらどっちもしっくり来ないのは事実だ。
せっかくだ、新たな名前で活動するのも良いだろう。…今の俺は艦兵であっても、無所属の艦兵なのだから。
「そう…だな。個体名は…鴉羽。【鴉羽】で頼む」
『了解しました。識別No.0、個体名【鴉羽】で登録致します。………完了しました。さぁ、戦いましょうマスター…!』
あぁ、言われなくても分かっている。
背後から奇襲を仕掛けてきた男級怨骸を蹴り飛ばし、照準を合わせてレーザを発射する。…チッ、若干ズレやがった。
「まぁいい、ちょっとした試運転だ」
フックを発射し、怨骸に括り付けた所で思いっきり怨骸を俺の所に引っ張り、近づいてきた怨骸を思いっきりぶん殴る。
『ドゴっ』と言う鈍い音が響き渡ると共に怨骸が遠くへと吹き飛んでいく。そして空中へと放り出された怨骸に照準を合わせる。
「…カタリナ。全砲門、一斉射だ!」
『了解です、マスター』
そして鳴り響く砲撃音と共に男級怨骸は粉々になるのだった。
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男級怨骸を吹き飛ばした後、早急に基地から離れて今は海底に避難している。海底も絶対に安全と言うわけではないが、まぁ海面に居るよりはマシだ。
基地から離れたのは侯級以上の怨骸が基地に戻って来たとしても大丈夫な様にだ。カタリナがあれば勝てる可能性はあるが、その前にカタリナの性能を確認しておきたいのだ。
ゲームでの怨骸化艦兵武装:カタリナの説明はこうだ。
【怨骸化艦兵武装:カタリナ】
かつての人類の希望であり、英雄であった初代艦兵が愛用した艦兵武装:カタリナ。それを怨骸達が改造を施し、怨骸化と共に途轍もない能力を秘めた武装へと変化した装備。
しかし改造前からの使用者制限は怨骸達の技術を持ってしても解除出来ず、未だに装備可能な艦兵は初代艦兵しかいない。
専用装備:艦兵識別No.1
…コレがゲーム内での設定だ。
ストーリーで必ず手に入る武装であり、それでいてストーリークリアしても永遠と使用する事ができない言わば記念品だ。
しかし性能は化け物であり、終盤のボスとされている王級や皇級、帝級達相手でもタイマンを張れる性能なのだ。
チートとか改造とかで無理矢理装備させていた者もおり、動画を見たことあるのだが、序・中盤はずっと無双していた。
だけどもいつになっても識別No.1の艦兵は実装される事がなく、いつになっても倉庫の肥やしになり続けた訳だが。最強の性能を持ちながらも使うことの出来ない悲しい運命を背負った装備でもある。
さて、そんなカタリナなのだが…まぁ機能が多い。怨骸化する前からも技術者達がひたすらに機能を詰め込んだせいでごっちゃごちゃだったにも関わらず、怨骸達もまた機能を加えたりしたせいでより酷くなっている。便利なのが多いから別に良いけども…
そんなカタリナの主要となる機能はこちら。
【一体化】
身体の一部に怨骸化武装の特徴であるオーブを埋め込み、身体と一体化する。
【武装具現】
カタリナの武装を即座に具現化する。また、一部の武装のみを具現化する事も可能。
【最適化】
一体化した身体の状態を武装を使用するのに最適な状態へと変化させる。部位欠損すらも武装具現によって補う。
【無限弾薬】
その名の通りの無限弾薬。魚雷も艦載機も全て無限に放てる。
怨骸印のトンデモ技術。
【高速回復】
ダメージを受けた武装や、身体を瞬間的に修復/治癒する能力。
使用する事に一定時間のクールタイムが発生する。
などと言った感じだ。
一応他にも飛翔だったりシールドだったりと色々あるわけだが、良くお世話になる機能は多分先程挙げた機能ばっかりになると思う。
(…にしても随分と姿が変わったもんだな。面影はあるけど一見すると別人じゃねぇか)
よく反射する部品を具現し、今の姿を確認する。
元は黒髪黒眼の日本人って感じの姿だったが、今では髪は銀色となり、瞳の色は片眼が青色となっている。
と言うか青い瞳に関しては瞳から蒼炎の様なものが吹き出している。視界に異常は無いし、そもそも潰れていた方の目だから視界が回復したこともあって非常にありがたいけども。
…うん、厨二病感が凄い。
ちなみにこの青い瞳、コレがカタリナ本体のオーブだ。この瞳が抉り取られれば俺は多分武装を失う。一体化してるからとはいえ、完全に同化してるわけじゃないしな。
身体も変化している。失ってたはずの片腕と片足が失ってなかったかの様に存在してるのだ。
義手と義足を軸として新たに手足が形成されたと言った感じだろうか。動きやすくて非常に良いとは思うのだが…サイボーグ味を感じざるおえない。
うーむ…やはり厨二病感が拭えない。
「まぁ…しょうがないか。それじゃ、コレからどうしようかねぇ…ゲームストーリーが始まるまで大きな出来事は起きないはずだし。と言うか俺がやるべき事ってバッドエンドに向かわない様にする為だよな…」
パッと武装顕現を使って海上を滑って行く。特に行き先は無いし…鎮守府にでも戻ろうかね。
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是非是非⭐︎などの評価をくれるとあるがてぇです。
えぇ、評価は大事…純粋に嬉しいのでね。
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