黄色い晴れ予報
—キーンコーンカーンコーン。
「ねえ、こと!!うち、A組のひろと君と付き合うことにした!!
「え、お、おめでと!!もしかして昨日の?」
「うん!!思ってたよりかっこよくて。」
「さすがモテる女は違いますね。」
「そんなんじゃないって。あ、ねえ、次のホームルーム何するか知ってる??」
「文化祭の役決めだよ。」
「げ、もうそんな時期か…。ってかさ、貴重な夏休みを文化祭の準備で奪わないでほしいんだけど。」
「そんなこと言って。当日一番楽しんでるの、花だと思うけど??」
「当日は楽しんだもん勝ちじゃん、そうじゃなくて、夏休みは合法的に寝坊できるんだよ??」
「は~なさん、私たちは受験生です。」
「っ、し、知ってるもん。でもうちまだ何やりたいかわかんないんだもん。」
「花はさ…」 キーンコーンカーンコーン
「あ、ごめん。」
「あ、うん。クラス委員だもんね!ファイト!」
「えー今日は文化祭のクラス映画の役決めをします。この間、脚本担当者が書いてくれた台本を読んできてもらったと思うので、やりたい役に挙手お願いします。じゃあ、まず主人公の「あかり」やりたい人?」
同じクラス委員の寺本君はいつもしっかりしてて、なんでもテキパキこなしちゃう。こういう決め事も彼が司会するだけでかなりスムーズに決まるから、私は書記に回ることが多い。彼は話し方も「ザ・頼れる人」って感じ。私も「しっかりもの」ってよく言われるけど、彼にはかなわないなぁって思うくらい、彼はすごい。彼なら、何でもなれるんじゃないかな、って思う。
「…いないか。じゃあ、いったん次の役決めます。ヒロインの「はるき」やりたい人?」
「みつきがいいと思いま~す。」「俺もそう思いま~す。」
「成瀬君推薦されているけど、どうですか。」
「じゃあ、やります。あ、でもサッカーの練習もあるから、そこはよろしく。」
「じゃあ、成瀬君で。…高梨さん、?書記お願いしたいんだけど…」
「あ、ごめん。」あぶないあぶない。しっかりしなきゃ。
「ってか、高梨さん主人公やれば??演劇部だし、明るい感じとかピッタリじゃん!!」
「えっ。」
「高梨さん、どうする?」
「私もことが適任だと思いま~す。」
「……え、わ、私でよければ。」
「うえ~い決定!」
「じゃあ、次の役を…」
私でいいのかな、花の方がかわいいし、私、そんなに明るくないし。他の子の方が向いているんじゃ……でも、本当は、ちょっとだけ、…ううん、すっごくやりたいと思ってた。だっていつもインスタグラムでみているあの子たちに少しだけ近づけるような気がしたから。受験もあるけど、本気で頑張ってみようかな。
私は退屈だった学校生活が少しだけ楽しくなるかもしれない予感がした。
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