第3話
ルゥイ君は体は小さいけれど、しっかり歩くことができるから、1歳半よりは大きいのかなぁ。2歳とすると、妊娠期間10カ月としてさ、3年の記憶失ってるでしょ。
正直、子育てした記憶がなくて赤ちゃん……幼児の成長の目安がよくわからないけど、言葉はまだ喃語からちょっと言葉になりかけた感じ。って、言葉も歩くのも子供によって差があるっていうし、分からない。
とにかく、2歳だったとしたら妊娠したのは殿下の立太子の式典から半年もたたないうちにってことになるよね?
婚約者も恋人もいない状態から、半年で妊娠?
もし、政略結婚したとしても、婚約して式を挙げてと半年では無理だよね?
……私の性格からすると、その場の雰囲気で流されるままに結婚もせずに体を重ねるなんてありえないだろうし。
そもそも、隣国で一旗揚げようというような夫とどこで知り合うっていうの?
仕事で屋敷と城を馬車で往復。休みの日は図書館にこもって読書。
時々舞踏会に出席することはあっても、壁の花。隣国で一旗揚げようなんて野望がある人から見れば「貧乏伯爵令嬢」に声をかけるメリットなんてないだろうし。
うーん。
もし、赤ちゃんが1歳ちょっとだったら、妊娠まで式典から1年くらい。
その間に、家が没落して、庶民暮らしスタートしてそこで出会いがあって……?あるかな?
でも、だとするとまだ産後1年ちょいってことだよね?
出産すると胸が大きくなるとか、太って体重が戻らないとか、骨盤が広がって内臓が下がって胃がもたれるというけど……。体に変化ないよね?
いや、庶民生活をしているせいか、手は荒れてザラザラしてるし、髪は手入れがしやすいように腰まであったのを肩までに切ってるし、まるっきり変化がないわけじゃない。けど、どうにも子供を産んだって感じじゃないというか。
うん。きっと、ルゥイ君は私が産んだわけじゃない。でも、きっと、私の子供だ。
なにか事情があって引き取ったんだろう。
偽名を使って家を出て育てなければいけない事情の子を預かった。
いや、もしかしたら、預かったことで家を出なければならなくなった?
……子供を引き取ることを反対された?
庶民の血を伯爵家に持ち込むのがだめだった?
そうだなぁ。流石に両親も反対して「どこか良い養子先を見つけてあげるから」と言いそうだ。私は情が湧いて「私が育てます!」とでも言ったのかなぁ?私とこの子を引き離すつもりなら家を出る!と自分で家を出た……。
っていう可能性が高いか。
それとも……。
キラキラ金髪に真っ青な瞳の天使の顔を見る。
「くぅーっ!ルゥイ~!かわいい!かわいい!私の天使!」
むぎゅぎゅっ。
積み木代わりの木の切れはしを積み上げて遊んでいたルゥイを抱きしめたら、手で押し戻された。
「マー、ナイヨ」
うっ。
邪魔するなといいたいのだろうか……!
くっ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます