第十四話 オレはただ、

「こんなことは間違っている」


 ハッキリと言われたその言葉に、オレはポロポロと涙をこぼし始めた。

(なんで、こんなにも涙が溢れるんだ)

 ずっと隠れていた表情がわかってくる。オレは、親に叱られた子どものように幼く泣いていた。ずっと自分を縛っていた何かから解放されたように心が軽い。


 ――あぁ、そうだ――


(オレはかたきを討ちたかったわけじゃない。……ただ嫌だったんだ。兄ちゃんたちがいなくなったのが。信じたくなかったんだ。……オレはただ、まだ一緒にいたかったんだ……)

 奥底に沈んでいた本音が溢れ出す。自分ですら忘れていた想いが蘇る。

(どんな手を使っても、一緒にいてほしかった)

 どう抗おうと叶うことのないもの。それが、この六年間オレが願い続けていたものだった。

 中学生から大人に成長するにつれ、冷静に考えられるようになるにつれ『自分の願いは叶わない』と頭の片隅をよぎることはあった。

 でも止まれなかった。オレの、家族と一緒にいたいという想いが、冷静な思考を上回った。だからこの計画を、無意味だと、無益だとわかっていながら実行した。


 ――その結果がこれだ――


 もう自分は、取り返しのつかないところまで来てしまった。後悔と自責の念にさいなまれる。

 過去人の死は変えられない。過去あやまちは変わらない。

 自分のしたことがこんな形で罰となるのなら、なんと皮肉な罰だろうとオレは思った。


 けれど――

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