第八話 オレが(1)
午前十時 東京都
『続いてのニュースです。先週、東京都☓☓区で遺体が発見されました。亡くなった比留間一家は、
テレビから流れる音が消え、辺りが静寂に包まれる。窓から漏れる騒々しい音とは対照的に、オレは息を潜めるように静かにうずくまっていた。この家には今日、兄ちゃんの遺品整理のために来ていた。
(なんで、兄ちゃんたちなんだよ……)
服の袖を強く握るオレの心は絶望に染まっていた。ついこの間まで、留まることを知らない光のようだった
しばらくの間オレは感傷に浸った。しかしふと目線を上げると、オレはその先にあるモノに惹き込まれた。
《世界の樹》
本棚にあるそれは、兄ちゃんが大学で学ぶための資料だった。
重たい身体に力を入れ、オレはその本のもとへ近づく。そしてさほど分厚くもない本をパラパラとめくり始めた。
【世界樹】
・それは記録上、四大文明が興った時代から存在する
・大きさや場所、数を変えながら今もなおこの世界に存在している
――――――
――――
一ページ、また一ページとめくるうちに、日常の一部でしかなかったものに常識を逸した何かを感じる。
オレは手を休めることなく読み進めた。まるで運命か何かに導かれるように。そして偶然めくったページに、一つのメモ書きがあった。
世界樹の中にある大量の本には、死者の魂の一部が刻まれていて、その人の一生を鮮明に書き記している。
兄ちゃんの、お手本のような綺麗な字で書かれたその内容に、オレは目を見開いた。
(……これが本当なら、兄ちゃんたちをやった犯人をすぐにつかまえられるんじゃ……)
そんな
……しかし、
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