第七話 あの日……
――六年前 東京都☓☓区――
その日は数週間ぶりにもなる快晴だった。
夕方になっても
(早く兄ちゃんに会いたいなー!)
当時中学ニ年生だったオレは、ウキウキが抑えられない顔をしていた。なぜならニつ楽しみなことがあったからだ。一つは、その
ニつの楽しみが重なったことでオレの気分を例えるなら、留まることを知らない光のようだった。
――だからこそ、この先に起こった悲劇はオレを大きく変えることになる――
……パトカーのサイレンの音が聞こえる。現実に引き戻される。
「家に帰ってからどれくらい経った?」
「ねぇ父さん、母さん?」
「………っ、ねぇ、兄ちゃん?」
オレの悲鳴にも似た声に答えてくれる人はいなかった。その事実にオレは、目の前で起こっていることが夢でも幻術でも妄想でもないことを嫌でも実感した。
(嫌だっ! いやだっ!! うそだ!!)
受け入れたくない現実を目の前に、オレは涙が溢れた。
………泣き続けるオレの辺りには、大量の血と、三つの冷え始めた体があった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます