第2話 懐古
STARの力を駆使しある程度後片付けを済ませてから、俺はアース本部に向かった
【アース本部】
『 ここが...』
ヘリで移動すること2時間
都心にあるアース本部に着いた
『 でっけぇ...』
第一印象はそれに尽きた
『 ほんとにでっかいよねぇ、私いっつも迷っちゃうもん!』
『 毎回毎回お前探すの苦労してんだからな...』
『 えへへ〜🎶いつもありがと!』
仲が良さそうでなによりだ
『 じゃ、入りましょうか』
黒髪ショートの気だるそうな女性ペルセウスに連れられ、俺たちはアース本部に入った
アース本部内部
なにやら視線を感じる
『 なんだ...?』
『 あぁ...あまりにも自然だったので忘れてましたがベネットさん、STAR脱ぎ忘れてますよ』
『...そうだったわ』
ペルセウスとコトはいつの間にかSTARを脱ぎ私服に戻っていた
『 え〜と...どうやって脱ぐんだこれ...?』
『 STAR着てるのに脱ぎ方知らないなんておじさん変なの〜』
『 ただ指に力を込めて「戻れ」って念じるだけです』
そう言うペルセウスの指に注目すると綺麗な指輪が付いていた
『 もしかしてその指輪がSTARなのか?』
『 ご明察』
いったいどういう原理でそうなるのか...
だが細かいことを考えたら負けだ
『 ...戻れッ!』
右手人差し指に力を込め、中々に厨二臭いポーズを取り青白い光に包まれる
『 ...別に口に出す必要もポーズ取る必要も無いんですけどね』
ペルセウスの冷静なツッコミが心に刺さる
『 ...形から入るものでして』
そんな会話をしつつ自分の指に注目してみると右手人差し指に綺麗な青玉の指輪が付いていた
『 おぉ...』
思わず魅入ってしまう
『 じゃ、行きましょうか』
『 おー!』
【受付】
『 こんにちは!おや?見ないお顔ですね』
そう言って俺を不思議そうな顔で見つめてくるのは黒と白のメッシュの若いお姉さんだ
『 紹介します、この人はマエナさん。』
『 このアース本部で受付やオペレーターをしてくださってる方です』
『 こんにちは、ベネットです。よろしくお願いします』
『 ベネット?』
『 は...はい...(なんだ?なんかやらかしたか?)』
『 良いお名前をお持ちですね、それで、本日のご要件はなんでしょうか?』
『 このベネットさんがアースに所属しているかどうか調べて欲しいんです』
『お任せ下さい!すぐ終わりますよ!』
カチャカチャ...ターンッ!
『 ベネットさんは...所属されていませんね』
『 なるほど...』
『 ベネットさんが付けていらっしゃるその指輪、STARですよね?』
『 そうですね...(怪しまれてるな)』
『 STARを付けているのに所属はしていない...』
『 もしかして...盗みました?』
『 絶対盗んでません!(覚えてないけど)』
『 そうですよねぇ...そもそもSTARを盗むことは無理に近いので』
『 考えられるのは...昔所属していたけど何らかの理由で脱退した...ということですね』
『 う〜ん...まぁ細かいことを考えても仕方ありません!』
『 (細かいことなのか...)』
『 今所属していないとの事なら改めて入隊テストを受けてみたらいかがですか?』
『 入隊テスト?』
『 はい!本来なら適合試験が終わったあとにするものですがSTARをお持ちなら試験するまでもありませんので』
『 丁度今日、適合試験が終わって入隊テストをする人達がいるのでご一緒にいかがですか?』
『 そうですねぇ...』
アースとやらに所属していた方が良いのだろうか...
『 アースに所属すればやれることが増えますよ。先程のようにディスペアと戦う際もサポートが受けられますし、なによりSTARを装着して戦う際はアース本部の許可が必要なんです。』
『 所属しておいて損はないと思いますよ』
『 え、許可とか必要なの?』
『 そうですよ?許可なく街中で暴れられても困るので』
『 本来なら無許可着装は重い刑罰の対象ですが、ベネットさんはまだ所属していないのと1回目なのでセーフってところですね』
『 ...わかった。入隊テストを受けるよ』
アースに所属していればきっと俺の過去に関する情報を入手できるだろう
そうして俺は入隊テストを受けることになった
【入隊テスト】
『 参加者の皆さ〜ん!こんにちはー!』
『 こ...こんにちは〜...』
真っ白な空間に連れてこられた
周りを見渡してみると他の参加者は3人いた
『 ケッ...御託はいいッ!さっさと始めやがれ!』
金髪の威勢が良い女の子が1人
『 レオちゃん...落ち着いて...』
黒髪ロングの大人しそうな子が1人
『 うるせぇな!レオって呼ぶな!』
『 今日からアタシのことはシシって呼べよ!ヘリケー!』
『 うぅ...私の名前はヘリケーじゃないのに...』
『 あっちは賑やかですねぇ...』
そう話しかけてきたのは天色の髪をした男の子
『 そうだなぁ...まぁ元気なのはいい事だよ』
というかみんな若いな、中学生くらいかな?
『 君の名前は?』
『 僕はソラ、でもこれからはトロイアと呼んでくださいね』
『 よろしくトロイア、俺はベネット。』
『 ♪ ピーンポーンパーンポーン↑』
『 参加者同士のご挨拶も済んだ様なので早速テストに取り掛かりますね!』
『 ハッ、やっとかよ!待ちくたびれたぜ!』
『 足引っ張んなよお前ら』
『 がっ...がんばる』
『 頑張ります!』
『 やるか...』
『 それでは参りましょう!』
その言葉の合図と共に真っ白な空間に相応しくない真っ黒な怪物が現れる
『 ディスペア?!』
『 ご安心ください!こちらは本物ではありません!』
『 限りなくリアルに制作したロボットです!』
『 ですがその強さは侮れません!油断してたら痛い目を見ますよ〜』
『 では!そろそろ装着をお願いします!』
『 じゃアタシからいかせてもらうぜ!』
『 来いッ!アルギエバッ!!』
唐紅のSTARに身を包む
『 ほら!ヘリケーも早くしろよ!』
『 え...えーと...来て...!メグレズ』
本紫のSTARに身を包む
『 ぼちぼち僕たちも変身しますか』
『 おいで、スカト』
髪の色と同じ天色のSTARに身を包む
『 2等兵1人、3等兵2人?!今年の適合者は豊作だねぇ!』
オペレーションルームで楽しそうにはしゃぐコトと冷静なペルセウス
『 そうだな、コト。だが今テストを受ける適合者の中で1番やばいのは...』
『 俺の番か...』
息を整え集中する
この生命、燃え尽きようとも
『 いくぞッ...!シリウスッ!!!』
『 一同(?!...)』
目の前にいる真っ黒な怪物を焼き尽くすほどの蒼白銀の光が部屋を埋め尽くす
『 これは...想像以上ですね』
『 す...すごい...』
『 なに怖気付いてんだよヘリケー、こんなおっさん見かけだけだろ!』
随分な言われようだ
『 お前らッ!ボーっとしてたらアタシが1人であのデカブツぶっ倒しちまうぜ!』
そう言って生意気な少女は意気揚々とディスペアに突撃した
『 おらぁッ!!!』
ドゴォン
少女の右ストレートがディスペアの顔面にヒットし、大きく吹っ飛び大破する
中々良いパンチだ
『 ハッ!なんだ楽勝じゃねえか!』
『 シシちゃん、テストクリアです!』
『 シシちゃん凄い...』
『 お前らも早くクリアしろよなッ!』
『 じゃあ...次は私が...』
そう言うと彼女は無から対物ライフルを取り出した
どうやらSTARにはそれぞれ固有の武器があるらしい、俺とシシって子は普通に殴ってたから知らなかったが
2体目のディスペア型のロボットが現れる
『 うぅ...』
震えている、当然だ
目の前にいるのは人智を超えた怪物なのだ
『 (体が...震えて言うことを聞かない...)』
無慈悲にも怪物はこちらに近づいてくる
『 (ヒッ?!...)』
(どうする...?助かるべきか...)
怪物の拳がヘリケーを襲う
(危ない?!)
俺が助けるよりも先に身を乗り出していた少女がいた
『 ぐっ...』
『 レオちゃん?!』
『 レオって呼ぶなバカ!シシだッ!』
『 シシちゃん?!なんで?!もうテストは合格してるからシシちゃんが戦う必要はないのに...』
『 はぁ?お前バカかよ』
『 困ってるダチがいるのに助けない馬鹿がどこにいんだよッ!』
『 ふんッ!』
そう言うとシシは腕に力を込めディスペアをぶん投げた
『 そもそもお前は後方支援型なのに1人で戦おうとすんな、アタシがいんだろ?』
『 おいオペレーターッ!別にアタシが手伝っても最終的にコイツがデカブツ倒せば問題ないだろ?』
『 後方支援型のSTARに限りOKです!』
『 だとよ。ほら、立てよ。』
そう言ってシシはヘリケーに手を伸ばす
『 ...うん!』
最初は仲が悪いのかと心配していたが、どうやらそれは要らなかったようだ
『 アタシがアイツの注意を引く。お前はその隙に頭を撃ち抜け、いいな?』
『 うん...わかった...!』
『 もっかいいくぞデカブツ!!』
本日2度目の突撃
だがその攻撃はディスペアを倒すためのものではなく、注意を引くためのものだ
『 オラァッ!!』
シシの一撃がヒットし、ディスペアが地にうずくまる
『 今だッ!』
『 うん!』
『 トラウィスカルパンテクートリッ!』
全てを破壊する一筋の光がディスペアに衝突する
『 すごい威力だ...跡形もないな』
『 おぉ...!やればできんじゃん!すげえなお前!』
『 えへへ...』
『 パンパカパーン!ヘリケーちゃんクリアです!』
『 凄いですねあの2人...』
『 あぁ...凄いな...次はトロイアくんの番かな?』
『 そうですね...頑張ります!』
そう言って無からショートブレードを取り出す
3体目のディスペア風ロボットが現れる
『 ...?!速い...』
目にも止まらぬ速さでディスペアに突撃するトロイア
高速の斬撃で足を切り刻みディスペアが倒れる
その隙を見逃さず宙に飛び上がり、ディスペアの頭に向かって剣を突き刺す
(え?...なんか強すぎじゃない?)
『 トロイアくん!余裕でテストクリアです!』
『 やりました〜!』
こちらに走ってきてハイタッチをする
『 凄いなぁ今の子は...』
『 おにいさんも頑張ってくださいね!』
(聞いた?おにいさんだって...良い子だ)
『 さて...大人の力を見せつけてやりますか』
(というか...みんな武器とか出してるけど俺には無いのか?)
目をつぶって考えてみる。思い出せ、昔の俺を
その想いに呼応するかのように右手が光り輝く
右手に重みを感じる
目を開けると、右手には大剣が握られていた
『 これが...俺の武器...?』
蒼白銀の色のSTARが持つには目立ちすぎる黄金の大剣、まるで太陽のようだ
4体目のディスペア風ロボットが現れる
『 結構重いな...』
両手で大剣を支える
『 ふん!』
軽く一振してみる
気づけばディスペアの方に飛んでいった斬撃がディスペアを真っ二つにしていた
『 えぇ...つんよ...』
『 ベネットさん!楽々テスト合格です!』
『 おっさん...あんたすげえな!!』
『 おじさんすごい...』
『 おにいさん流石です!』
(おっさんやおじさんが気になるが褒められて気分が良い)
『 全員合格です!おめでとうございます!』
『 ただ、本物のディスペアの強さはこのロボットを遥かに凌ぎます。合格したからといって油断せずにいきましょう!』
こうして、俺はアースに正式に所属することになったのだった。
【司令塔】
『 ふむ...今年の適合者は強者ばかりだな』
『 ベネット...やっと戻ってきてくれたか...』
『 私はお前に合わせる顔がない...』
『 だからあの日のような失敗は二度としない』
『 さぁ...いこうか』
『 運命を捻じ曲げに』
3話目に続く
運命湾曲のReverseFate @banana_877877
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