第7話 如月湊の資質 その4
4月4日 17時00分 放課後
誰もいない教室に、僕は一人取り残されていた。窓の外から差し込む夕陽が、長い影を教室の床に落とす。机の上に肘をつき、頭を抱えるようにして、今日一日を振り返ってみる。心の中に渦巻くのは、解けない謎ばかり。
自然とため息が漏れた。消しゴムが鉛筆に変わったり、麦茶が緑茶に変わったり……。頭の中でそれらの出来事がぐるぐると回っている。その正体が掴めず、心の中で不安が広がっていくのを感じた。
不意に、教室のドアが静かに開く音がした。その音にハッとして顔を上げると、そこに立っていたのは蒼空だった。彼の姿を見ると、少しホッとしたような気持ちが胸に広がる。
蒼空は、僕の顔をじっと見つめた。彼の眼差しは、まるで僕の心を読んでいるかのように鋭い。
蒼空はゆっくりと頷きながら答えた。その落ち着いた態度に、僕は少し気持ちが和らぐのを感じた。
その言葉を聞いて、僕は思い切って質問を口にした。
蒼空は一瞬だけ微笑み、教室の窓から差し込む夕陽の光がその顔を照らした。
信じられない思いが胸に広がり、僕は彼の顔をじっと見つめた。蒼空は冷静な顔つきのまま、僕を見返してきた。
蒼空がその言葉を口にした瞬間、教室の空気が変わった気がした。蒼空の姿がふっと消え、ペンもまた消えてしまった。
その声が聞こえた瞬間、僕は驚いて振り返った。蒼空が立っていて、手には先ほど投げたペンが握られている。彼は余裕の笑みを浮かべながら、僕の驚いた顔をじっと見つめていた。
僕はしばらくその場に立ち尽くし、蒼空の力を目の当たりにしたことで、ますます自分の資質に対する興味が募った。
彼の力は、僕の理解を超えるものであり、同時に自分の資質がどれほど恐ろしいものかを思い知らされたのだった。
気になっていることを、僕は蒼空に尋ねた。彼がどのように自分の力を見つけたのかを知りたかった。
蒼空は少し考え込んだ後、静かに話し始めた。
蒼空の視線が遠くに向かい、記憶の中を探るように少しだけ目を細めた。
蒼空は手を前に差し出し、その時の光景を思い浮かべるように、ゆっくりと語り続けた。
蒼空の声には、どこか懐かしさと、同時に恐怖が混じっていた。その石に触れる瞬間を思い出し、彼は一瞬ためらいながら続けた。
どれくらいの間、意識を失っていたのかは覚えていない。でも、目が覚めた時には、痛みはすっかり消えていた。ただ、胸の奥に、何かが変わったという感覚が残っていた。」
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