第六話 オスカーとやらの可能性

ノーランド、まぁ簡単に言えば、関わってはいけない一族の事を指す


悪魔の一族、とも呼ばれておるな


金、財宝などには目もくれず、殺人、血を求め続ける一族―――


普通の人間とは思えない、考えられない身体能力、第六感を持ち


一人、一人が何か特殊な能力を持つという


大体60年前、北、ノースサイエント地区にて起きた、大量虐殺事件


ノートリアス・ノーランド・ノースサイエント事件


通称、No,3トリプルエヌ


あの事件から、名が広がったように思える


先代の当主は目立ちたがり屋でのう


堂々と大量虐殺事件を起こしたノースサイエント地区に城を作り


「捕まえれるもんなら捕まえてみろ、儂は逃げも隠れもせん」


が口癖じゃったわ


当主が変わり、拠点を別の場所に移した今でも観光名所として扱われておるらしいぞ


全く、あんなもの見て、何が面白いのか


ん?何故、そんなに詳しいのかって?


「少し、喋りすぎてしまったか」


「人間が持つ癖ってやつは、なかなか治らんもんじゃのう」


「昔の目立ちたがりな部分が出てしまったか」


彼がそう言った時、血塗れた部屋の中に刀を納める音が響く


「血を求めるのはノーランドの宿命か―――」


「今はただの老人、だがね」


そう言いながら、彼は部屋を出て行った、頭と胴体が離れた死骸を残して


これはノーランド、悪魔の一族を追った、ある記者の記録である


彼は取材をする際、部屋に隠しカメラを仕掛けていたらしく


この殺人事件が発覚した際、軍によって回収された


補足、記者が取材していた相手の行方はいまだ判明していない


だが、捜査により見つかった記者のメモには『ジェームズ・オスカー』とだけ書かれており


その人物が何か関係しているのではないか、と言われている


追記、■月■日、当件の捜査は打ち切られ、この件に触れる事が違法となった


その決断を下した、マーシャル・アルバート大佐は


『ノーランドには関わるな』


とだけ言い残している―――


「なかなか強いのう、お前さん」


「じゃがのう―――」


「ノーランドを騙るにはまだ早い」


頭と体が離れ、血に塗れた状態のシトリーに


オスカーは刀を納めながらそう言った


静寂の中で、刀を納める音だけが響いた

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