第五話 僕の可能性

「ゼパル、準備しといて」


「オーケー」


シトリーに命じられて、俺はすぐに術式を展開する


「オスカーさん、あなたの娘は僕に銃を向けた、意味は分かりますよね?」


シトリーがオスカーの方を見て、そう言う


すると、オスカーは少し考えた後、口を開く


「―――これは老人の戯言ざれごとだが」


「銃という者は人を殺す物だ、使い方は色々あれど、それは決して変わらない」


「覚悟を持って向ける物だ、軽い気持ちで扱っていい物じゃない」


「だから娘にもしつこく言っている、銃を持つ時は共に覚悟を持て、とな、殺す覚悟を」


「そして、死ぬ覚悟も」


「儂はのう、あまり人の覚悟に水を差したくないんだが、愛娘が殺されるとあれば」


「そんな心情、些事にすぎん」


そう言って、オスカーは刀を持ち出した


「へぇ、命が惜しいただの老人、かと」


「命?命とはのう、使って然るべき、大切にとって置くものでもあるまいて」


そういいながら、オスカーは刀に手をかける、そして命も


「それも、そうだね」


「ゼパル、そっちは君に任せた」


シトリーがそう言うのを聞き、俺はドアの方に目を向ける


心配はない、信頼も無いが


何故か、幼少期、シトリーを見た、その瞬間から今まで


シトリーが死ぬという想像イメージができないから


「さて、僕はこの爺さん相手にどこまでやれる、かな」


「試そうか、『僕の可能性』を」


そう言いながら、僕は術式を展開した

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