第8話 Bパート
場所を移動して『
「変身ッ!」
勝風はリベロヴァルカンを用いて、黒の仮面バトラー・仮面バトラーリベロに変身してみせる。開発者の
「リベロは『これまでに地球上で発見された怪人の戦闘データ』を解析して、武器にしています。この銃弾は、あなたたちの仇敵ともいえる
「とうさんの……」
クモ型怪人。Xデイに現れ、望月兄弟の父親・望月大貴の命を奪った。
「いずれ倒さないとあかん敵やな」
赤い仮面バトラーの
「ボクたちが気になっているのは、仮面バトラーリベロの変身システムです。仮面バトラーシステムバージョン4では、シンボリックエナジーを消費するから、ボクが適合していたと聞いています」
『リベロもシンボリックエナジーを消費して変身するのであれば、ショーブ含めて、
シンボリックエナジーは、誰しもが持っている生命エネルギーの一種。だが、持っているシンボリックエナジーの量には個体差があり、シンボリックエナジーを使い果たせば死につながる。
「オレは、かまわない。とうさんのように、人々の命を守れるのなら」
勝風の言葉で、夜長はリベロの変身システムに対する疑問の解答とした。勝風が持ち込んだ仮面バトラーシステムバージョン4のデータによって、リベロヴァルカンの動力源は確保されている。
「ボクは兄貴がいなくなったら、イヤだよ。ちっとも帰ってこないから、かあさんだって心配している」
「かあさんが?」
「そうだよ。兄貴が『
リベロの仮面に隠されて、勝風の表情は見えない。弟の言葉には、動揺している。
「帰ろうといえば、ウチのお嬢様はどこにおるんよ。ウチのお嬢様も、
「麗しの彼女は、リベロヴァルカンのさらなる強化のため、しばらくお借りしたい所存でありますが」
「ウチのお嬢様を『モノ』みたいに扱わんといてくれる? 貸さへんよ」
「揚げたてのポテトをたらふく食べて、ご満悦でしたよ?」
胃袋を掴まれている。あのつっけんどんな態度をとるお嬢様が懐柔されていた。
「……またあの子は」
「しなしなのポテトには戻れないそうです。日頃の食生活が問われますねえ」
お嬢様の食事は、身の安全のために外出できないので、店屋物ばかりだ。特に、ファストフードのデリバリーサービスをお気に召している。スマホから注文し、コンマの正面玄関に届けてもらう。届いたもののお代をタクトが支払って、基地まで運んでいた。
『ワシらは、お嬢様の【復元】で怪人の情報を消したい』
「我が社としては、怪人には……いてほしいというのはおかしいですが、出現した記録は残しておいてもらったほうが、リベロヴァルカンが売り込みやすくなりますですね」
『うむ。そうじゃろうな。コンマとクオート、ここで意見が食い違うんじゃ』
「あとひとつ。ウチとしては、大切な命を削りながら戦ってほしくないんやけども、ヨナガはどう思ってるん?」
クオートに乗り込む前にもこの話はあった。勝利を仮面バトラーフォワードとして怪人との戦闘に送り込んでいる身ではあるが、タクトはタクトなりの考えがあって、フォワードベルトを作り上げている。
「多くの命を救うために、多少の犠牲はつきものでして」
夜長は、仮面バトラーリベロの右肩に手を置いた。多少の犠牲。
「その『多少の犠牲』に、兄貴を入れないでくださいよ」
拳が震える。夜長のセリフで、勝利は自身をコントロールできなくなってしまった。
「ボクが一人で戦うのではなく、リベロがいっしょに戦ってくれて、二人で戦えるっていうのは心強いなって、さっきまで思ってた。けれども、違う。ボクの兄貴は、一人しかいない。とうさんだって、一人しかいなかった。また、……また、つらい思いをしたくない! ボクが、ボクがフォワードとして戦えばいい! そうでしょう!?」
「勝利! オレは、勝利だけに人類の命運を背負わせたくない! オレも戦う、だから、リベロの力を手に入れたんだ! オレは、オレの意志で『仮面バトラーリベロ』になっている! デメリットも承知の上でだ!」
「兄貴は何もわかってないよ」
勝利はフォワードボールを取り出した。フォワードベルトに、そのボールをかざす。
「変身」
サムライブルーの
「ゴートさんの言うとおり、そのリベロヴァルカンを破壊する。七丁すべてのリベロヴァルカンを破壊すれば、もう誰も仮面バトラーリベロには変身できない」
「やれるものなら……!」
「仮面バトラーは、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます