7.27

緑の丘のその上の


見たくなかった感情


廊下の端の切れっ端


あれは誰の花びらだ



何があろうとあなたを愛す


と言い残し


消えていったあの子の


動機も胸の内も何も


判っちゃいなかった


――――――――――


髪を掻き上げるロングの少女


昔のわたしとそっくりで


その隣のまるい男の子


昔のあいつとそっくりで



古巣、借り物の箪笥、電源の着いてないこたつ


料理のうまいあいつとパイン飴食い競争


――――――――――


足を挙げて


もう一歩


さよならは


深い警告


―――― ――――


両手を挙げて


もう一回


挨拶の


練習です




僕を呼んで


呼んでいるあの子を


深い海の底へ


落としたいと思っているんです



深く呼んで


呼んでいるわたしは


消えそうな彼の幻影を


追いかけているんです

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