時限爆弾サイト
はやかなか
時限爆弾サイト
僕、
突然のシリアス展開で驚かれるかもしれないが、嘘じゃない。
このサイトは僕が中学の時に趣味で作ったものだった。若気の至りというやつだ。ちょっとふざけて、「このサイトが落ちた時に登録者も命を落とすサイト」——もちろん、そんな機能はなかったが——なんてふざけた名前のサイトを作ったのだが、それがいつの間にか本当に人を殺すサイトになっていた。
突然こんなメールが届いたのだ。
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件名: 貴サイトへの機能追加について
小林 作 様
突然のご連絡をお許しください。私たちは太陽系第0惑星
私たちは、地球上のWebサイトに革新的な機能を追加するプロジェクトを進めております。その一環として、貴サイトにも「サイトが停止することで登録者の命に影響を及ぼす」という特異な機能を実装させていただきました。この機能は、貴サイトのユニークな特性に深く感銘を受けた結果であり、私たちのプロジェクトの一部として非常に興味深く捉えております。
この機能追加について、ご不明点やご質問がございましたら、どうぞご遠慮なくご連絡ください。貴サイトの運営に支障をきたさないよう、必要なサポートを提供させていただきます。
今後とも、貴サイトのご発展をお祈り申し上げます。
ウエブスキー
太陽系第0惑星熱斗(ネット)星
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こんなメール、信じているのかと思われるかもしれないが、もちろん、僕も疑った。でもさ、直接うちに奴らが——宇宙人がやってきたら信じないわけにはいかないでしょ?
それで、なんで50万人もの登録者がいるのかといえば、それはSNSで大人気インフルエンサーに紹介されてしまったからだ。無駄に多くの機能を組み込んだのが仇となった。面白おかしく紹介してくれたせいで、彼のファン達がどんどん登録したのだ。
この頃の僕はまだまだ未熟だったから、セキュリティなんて頭の片隅にもなかった。それで、Dos攻撃なんて単純な攻撃でも危険があるのだ。いや、たかがDos攻撃、されどDos攻撃だ。大規模に攻撃されたら、個人運営の貧弱なサーバーなんてすぐに落ちる。例えセキュリティの意識がある今の僕が作ったとして、普通個人サイトでDos攻撃なんて想定しないから。
というか奴ら、どうしてDos攻撃なんて——
サーバーを物理的に破壊して仕舞えばそれで済むのに。
とはいえ僕にはわからない、奴らにものっぴきならない事情があるに違いない。わからないことを考えても仕方がない。今は目下のこの重大な事案に対応しなければ。
ふと気づいた。もしかして、Dos攻撃を仕掛けてくる奴ら、このサイトの勝手に機能追加したウエブスキーではないか。奴、地球人を殺すならこんな回りくどいことしなくてもいいのに。
「ふっ、ふっ、ふっ、ふっ、よく気づいたな。そのとーり、このワタシ、ウエブスキーがDos攻撃を仕掛けているのです」
突然、偉そうな苛立たしい声が聞こえてきた。うるせえな。今集中してるんだよ。その口塞げや。
「おい、無視するな。お役立ち情報をあなたに教えてあげようと思って」
仕掛けてきたくせに、なんだよ。恩でも売るつもりか。
「な、なんでわかったんだ」
いや合ってんのかよ。ああもう、残り一分しかない。残り時間は刻一刻と迫ってきているのに無駄なことに脳のリソースを割く暇はない。
「ここで、一大発表をしまーす!」
だから、黙れよ。
「そんな悲しいこと言わないでー。実は、このサイトが落ちても、人は死にませーん。というか、そんな技術僕たちが持ってるわけないじゃない。科学って知ってる?これだから、地球人は。すぐに信じるんだから」
いや、宇宙人が来たら誰だって、信じないわけにはいかないって。お前が科学を語るな。というか、あのメールなんだよ。
「実は〜、異世界へ召喚する方の選抜のためのテストでして〜、まあ異世界というか?私たちの管理する世界の、あっ、ワタクシ一応神をやらせていただいておりまして……、それでその世界にですね、魔王が現れたんですよ。え?自分たちで対応しろって?いや、私たちのポリシーとしてね、世界に直接干渉しないというのがあるんです。それで、この地球から勇者を、ある国の王に召喚させる、という体で干渉することになりまして。で、もちろん勇者というからには、この国のあのラノベというやつで出てくるクソ勇者みたいな方を召喚してはいけないと思いまして、人を思う心を持った方を探していたのです。その点あなたは合格ですね」
あ、あと5秒で3分が過ぎる。長話しやがって。どうせこれも嘘なんだろ。誰が信じるかよ、ばーか。
4秒、3秒、2秒、1秒、0秒
そうして、僕は異世界に召喚された。クソが。誰が勇者になんてなるか。
時限爆弾サイト はやかなか @68252
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