決闘 3

 異能者。

 それは異なる宇宙、【異界】との繋がりを持った選ばれたたち。


 そして【異界】と繋がった異能者は、【異界】に漂う無尽蔵なエネルギー《ルミナス》使用する事が可能になった。  


 《ルミナス》は世界に多大な影響を与えた。


 何故なら【異界】との繋がる存在は、人だけでは無かったのだ。


 動物や昆虫、機械、などの無機物までもが【異界】と繋がり、《ルミナス》を手に入れたのだ。


 そして、その中の一つが【異界】によって、異能と意思を与えられた、生きる武装たち。



【刻異武装】



 ◇ ◇ ◇



 荒れた森、小さなクレーターの中心で、ありえない光量を放つ白き球体。それは球体の中にいるが放つ《ルミナス》の輝き。


「意思と力を持った武器、【刻異武装】……、んな希少なもん持ってるなんてな。これは、マジで退屈しなそうだ」


 クレーターから少し離れた木の上で光る球体を見つめ、楽しそうに獰猛な笑みを浮かべる夜空。


 すると、すぐに球体に変化が訪れた。

 

 球体は徐々に小さくなっていき、やがて霧散するように光の粒を残し消える。


 そして、その場に残ったのは、ひとりの人間の姿だけ。


 艶のある茜色の髪に銀色の瞳、手に持つ刀と同様に楓模様の施された着物を見に纏う美少女。


 その少女を見た夜空は、最初こそ少し驚いた表情を浮かべるも、すぐに「ま、いっか」となり木から飛び降り、そして少女へ声をかけた。


「アンタ、明らかにタイムさんじゃないよな。もしかして刀の方か?」

「ハハッ、よう気付いたなわらべよ。そう私こそ異界に選ばれし一刀にして、タイム・ノーヴァの師であり、契約者……、その名も!! 《神刀》秋星あきぼしである!!!」


 ババンッ! という効果音が聞こえてきそうな程に盛大な自己紹介をする少女、秋星。


 そんな秋星の姿を見た夜空は(なんだこいつ)と思ったが話が逸れると思い、なんとか言葉を飲み込む。


「あー、よろしくな秋星さん。まぁ色々とツッコミ所が多いが、今は一つだけ教えてくれ。タイムさんはどうなったんだ?」

「うむ、よかろう。あの子は今、私を呼び出すのに気力を使い果たして寝ておる。故に、私が入れ替わる形で顕現したのだ。普段ならこうはならぬのだがな、先の一撃が余程効いたらしい」


 自身の首元を摩りながらそう話す、秋星。

 

「へぇ、じゃあもうタイムさんは起きてこないってことか?」

「暫くは無理であろうな」

「まじかよ……。なら決闘はどうする? もしかしなくても、呼び出されたアンタが代わりに俺の相手をするのか?」

「ま、そうなるな。童は私が相手では不満か?」


 複雑そうな顔を浮かべる夜空の言葉に、秋星は可愛らしくコテンと、首を傾げながら聞き返した。

 

「いや不満はねぇよ。ただ、」


 夜空は頭を掻きながら返事をしようとする。


 しかし、その言葉は。

 ──突如、シャランと響く綺麗な鈴の音色。


 そして、首元で煌めく銀光によって遮られた。


「ホホッ、なに心配する事はないぞ。あの子の言う通り、退屈などさせんよ。存分に味わってくれ、刹那の死闘を、な」


 いつの間に移動したのか。

 夜空の首元へ刃を向けて、コロコロ笑いながらそう言う秋星。

 

 驚くべき事は夜空にすら、いつ移動したのか認識できなかったこと。


 しかし、なのにも関わらず夜空は刀身の先をしっかりと掴んでいた。


 滴り落ちる血。


 触れるまでまで気付けない。 

 そんな経験したことのない状況に夜空は目の色が変わる。


「おいマジかよ、こんなの初めてだ。思わず崇めたくなっちまったよ……、《神刀》秋星様って、なぁ!!!!」


 笑みを浮かべた二人の視線が重なり火花を散らす。


 そして、


「行くぞ?」

「ハッ、第二ラウンド開始だ!!!」


 蒼と朱のエネルギーが衝突し、世界を染めていく。

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