第2話 怪我したヒロイン

 近頃は様々なラブコメが流行っている。隣の席の子が外国語でデレたり、負けヒロインがたくさんいたりと。しかしその主人公はだいたいイケメンで、なんて妬ま…いや非現実的なんだ…。みんなも現実を見て欲しい、そこら辺にいるのはいかにもなモブだらけ。もちろん俺もその中の1人ではあるんだけどな!

 しかし、しかしだ、俺にはそこら辺の奴らが持っていないアイデンティティを持っている、そう!男子校在学中であるということだ。彼女がいなくてもそれを言い訳にできるし、初々しさが刺さると言う女子も世の中には絶対にいるはず…いるはずなんだ…。それを武器にしていけば、俺の長年の夢である「ラブコメを体験する」という目標も叶えられるはずだ。



 前話を見てわかって貰えると思うが、俺は女の子と会話をするというミッションを達成することが出来てしまった!異論は認めん。

 しかし俺は気づいてしまった。

 男子校在学中のピュアボーォイには、最初に立てた課題が大きすぎたんだ。

 ただ、困った…どうすればいいのかさっぱり分からん…。

 そこで俺は原点回帰、俺のバイブル、そうラブコメを見ることにした。、


 今回は、学校で天使と呼ばれている優等生が隣に住んでいて…、というラブコメを見ることにした。読み始めてすぐ、俺に電流が走った。なんとこの主人公は、公園で足を挫いたヒロインを助け、ハートをキャッチしていたのだ!

 ということで、もうお分かりだろう、次の目標を!



 ROUND2 「女の子を公園で助けよう」



 昼食中、俺は友達と作戦を練ることにした。

「でさー、公園でどうやって女の子捕まえんのー?」

 そう気だるげに話す彼は名倉という。いらない注釈かもしれないが彼は自称世界一のイケメンで生粋のプレイボーイだ。タイトルからもわかる通りもちろん女子はいないので男相手にだが…。しかし何人かのアニメ話が通じる仲間のうちの一人でもある。だから、今回の公園で女の子GET作戦も真面目に考えてくれている。

「もちろん怪我している女の子を助けるんだよ」

「もう計画完璧じゃん!」

 そう名倉は馬鹿なのだ。しかし、そこが好かれる理由なのかもしれない。

 しかし、俺も馬鹿なのでその言葉で計画に自信をもち、作戦会議は終了してしまった。

「じゃあ、俺は新しい子漁ってくる〜」

 そう言って名倉は言ってしまった。あいつのプレイボーイ具合が女子に向いてしまったら…

 そう考えるだけで心配で夜しか眠れない。


 その日の放課後、俺は絆創膏と湿布、ポ○リ

をもって、学校の近場にある公園へと向かった。俺は怪我をした女の子を3時間かけて隅から隅まで探した。滑り台の上、公衆トイレの中、ブランコの下の土の中…を探した。

「可愛い怪我をした女の子はいませんかー?」

その時、曇った空が眩く光り一筋の光が地面に突き刺さった。その場所を見ると1人の美少女が…ということも無く、ただ、俺の声が虚しく響いただけだった。今更、俺はとあることに気づいてしまった。

「今の俺、ただの不審者なのでは?」

と。急に恥ずかしくなって、帰ろうとしたその時だった。視界の端に白と黒の車が見えてしまったのだ。時すでに遅し。手を見ると既に手錠が…。

その日は結局警察のご厄介になったあと、事情を説明して深夜に解放されたのだった…死にたい…。



 その日は、このことをDMで話し、その子との仲が更に深まった。


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