ブラック企業に勤めている俺達は毎日お辞儀をさせられる生活を送っています
紬寧々
ブラック企業に勤めている俺達は毎日お辞儀をさせられる生活を送っています
「俺達、毎日お辞儀をさせられてるよなぁ」
「ほんと嫌になっちゃいますよね」
「ったく、上司の奴らめ。雨が降っていようが風が吹いていようが構わずだもんな」
「先輩はいつからここでお辞儀を?」
「かれこれ一年は経った気がする」
「うわぁ、ベテランですね」
「だから最近、身体の至る所が錆びれてきてさ。少しくらい休ませて欲しいもんだ」
「無理なものは無理ですよ」
「だよなぁ。確かお前はここに来て一ヶ月くらいだったよな?」
「一ヶ月と二週間くらいですね」
「まだまだ綺麗で羨ましいよ」
「綺麗ではありますけど、先輩みたいに錆びれてる方がかっこいいじゃないですか! 歴戦の猛者感があって」
「照れるからやめてくれよ」
「なんだかんだ言いつつも、この仕事に誇りはありますよね」
「俺たちが毎日働いているからこそ、皆の安全を守ることが出来るんだ。誇らしい仕事ではあるよな」
「ですね!」
「じゃあ今日も張り切って声を出しますか」
「僕達の声は誰にも聞こえないですけどね」
「そうなんだけど、声を出すほうがもっと思いを届けられる気がしてさ」
「それもそうですね。それでは先輩、合図をお願いします」
「任せとけ! せーのっ」
『御迷惑をお掛けして居ります。工事中御協力をよろしくお願いいたします』
ブラック企業に勤めている俺達は毎日お辞儀をさせられる生活を送っています 紬寧々 @nenetsumugi
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