第11話 デートの練習当日

「おはようございます。今日はよろしくお願いします」


 幼馴染がペコリと頭を下げる。

 どこかよそよそしいのは緊張している生だろうか。


「おはようございます。本日はお日柄も良く……」


 だめだ。

 返事をする俺の声も上ずっているうえに、幼馴染よりも日常会話から、離れた言葉遣いだった。

 二人して緊張している。

 そう気づくと、俺と幼馴染は顔を見合わせて噴き出した。


 なんで今更こんなに緊張する必要があるというのだろう。

 毎日、一緒にあれだけ長い時間過ごしてきたというのに。

 ずっと小さい時から一緒だったというのに。


 しかも、今日は「デートの練習」なのだ。

 緊張する必要はない。

 本番をうまくやるための練習。


 今からこんなに緊張していては本当のデートをするときに身が持たない。

 そう気づいた俺は、彼女の手をつかみ、ちょっとだけフザケテでも恭しく言った。


「さて、まいりましょうか。姫」


 俺たちのデートの練習がはじまった。

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