第9話 デートの服
「ねえ、明日は何を着ていけばいい?」
金曜日の帰り道、それまでいままでと変わらない態度で過ごしていた幼馴染はふと思い出したように言った。
本番のデートじゃないとしても、どこに行くとか気にするとか思っていたのだがまったく聞いてこないので少し驚いた。
「なんでもいいよ」
「そういうわけにはいかないじゃない」
「なにを着てもカワイイから」
「そうじゃなくて、例えばワンピースにヒールなのに山登りとかだったら最悪でしょ」
分かってないなあと幼馴染はため息をつく。
「可愛い」とさりげなく言ったつもりなのに完全にスルーされた俺は落ち込む。
どこでなにをするか前もって説明してもいいけれど、それじゃあつまらないと思ってあえて何も説明していなかったのに。
「白いワンピースに麦わら帽子」
俺は投げやりに返事をする。
あきれた顔をする幼馴染。
「なんでも大丈夫だよ。絶対に恥はかかせないから」
俺はそれだけいって、幼馴染の手をそっとつかむ。
良かった。
今度はちゃんと俺から手をつなぐことができた。
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