第7話 閑話休題

 お互いの家が近づくと、幼馴染はぱっとつないでいた手を離した。

 きっと、相手も恥ずかしい気持ちが少しはあったのだろう。

 小さなころから手をつないだことは何度もあるというのに。


「ねえ、楽しかったね。ずっとこうしていたいね」


 彼女はそういって恥ずかしそうに笑った。

 どのことを指しているのだろう。

 一緒に学校から帰ることだろうか。

 何気ない日常をともにすごしていることだろうか。


 幼馴染をデートに誘ってから何かが少し変わった気がする。

 いままでと同じことを繰り返しているのに、なぜだか特別なことのような気がするのだ。

 だけれど、一方で問題が残る。


 俺はまだ彼女をデートに誘えていない。

 そもそも、デートとは何をすればいいのだろう。


 なんで俺は幼馴染をデートに誘ってしまったのだろう。

 今こうしてデートなんかしていなくても十分に楽しくて幸せな日常があるというのに。


 いや、違う。

 デートに誘ったのはけじめのつもりだった。

 ちゃんと彼女への気持ちと向き合うため。

 幼馴染だから一緒にいるのではなく、彼女のことが好きだから一緒にいる。

 その気持ちを形にするために、デートに誘ったのだ。


 だからこそ、俺は彼女がいうようにちゃんとしたデートプランを提示しなければいけないのだ。

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