第6話 帰り道
「クレープ食べたい」
帰り道に幼馴染はそんなことをいうが、ここは都会じゃないのでクレープ屋なんてほとんどない。
現実的なところで学校の隣にあるテイクアウトのコーヒーの店でかき氷を食べるくらいが学生らしい寄り道だろう。
残念ながら俺たちの帰り道はそのコーヒー屋とは真逆の方向で、もうすでにあるきはじめているけれど。
それに、帰れば夕飯が待っている。
クレープなんて食べたら余計な摂取カロリーになるだろう。
「太るぞ」
なので俺はそれだけ言って幼馴染をたしなめたつもりだった。
だけれど、幼馴染はぷくっと頬を膨らましている。
ちょっと怒っているようだ。
だけれど、部活をやるでも勉強をするでもなければ、この時間の余分なカロリー摂取は避けるべきだろう。
間違ったことは言っていないはずだ。
幼馴染の頬は餌をほおばったハムスターみたいに膨らんだままだけど。
俺は面白くなって、幼馴染の頬を指先でつつく。
白くやわらかい。
しばらく、会話もなく歩き続ける。
気になるのがさっきからなんだかちょっと幼馴染とぶつかる。
そう思っていたら、幼馴染の手が俺の手をつかまえた。
「手つないで帰ろ」
怒ったままなのか、照れているのか、彼女はぶっきらぼうな態度のままだ。
手をつないで帰るのはなんだか恥ずかしくて、俺の方が赤くなり何もしゃべることができなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます