第3話 独学3歳児

 周りのネグレクトを乗り越え、なんとか無事に3歳の誕生日を迎えることが出来た。まあ、母親の命日でもあるから、祝って貰った事は一度も無いけどさー。


 本当にギリギリの毎日ですよ。主に食事が。栄養不足のお陰で同じ3歳児に比べたら、小さく痩せっぽちなまま。

 しかも時折出された食事が痛んでるっておまけ付き。それでも少しづつ成長していた。

 本当にここには碌な大人がいないよな!こんな奴等、全員クビだ!親父殿も含めてチェンジだチェンジ!


 そして誕生日の後暫くして、親父殿が後妻を迎えた。チラッと見たけど実にケバい女だった。貴族には跡取りが必要だから、どこぞの貴族令嬢だろうけど、趣味悪ぃ〜ね〜。

 勿論、その跡取りレースに俺が出場する予定は無い。だって俺は生まれながらに病弱な設定で、跡取りに選ばれる事はないと既に話が付いてるから、だそうだ。

 よくある出来レースですこと。オホホホ〜!


 それでもまだ家に置いて貰えているのは、万が一のスペアとしてだそうです。でも、跡継ぎの男子が生まれたら、成人を待たずに俺は家から出て行かねばならない。これも決定事項として既に家宰から告げられていた。


 貴族世界には、忘れ形見を大切にする風習は無いらしいね。


 それにしてもさ、子供相手に大人げない奴らばかりだよ。粗雑な扱いは俺の目がオッドアイなのも拍車を掛けているらしく、目が合った途端にその目を背けられるし。そもそも目を合わせようともしない。

 オッドアイって厨二の病がぶり返す萌ビジュなのに失礼だよ!だって紫と濃紺の瞳だよ?色々疼いてしまうのは致し方ない!何故ならそれが必然だからだ!


 でも、もし母親が生きていたら、ちょっとは変わったのかなー?

 生まれた時に俺を取り上げた女性が持たせてくれた、母の肖像画が入ったペンダント。これが唯一、俺が手に入れられたマッマの形見の品だ。

 その蓋を開いて眺めながら、考えてもしょーも無い事を思ってしまうほど、この広い屋敷で俺は孤独だった。孤独なオッドアイ……萌〜。


 だがいいか?お前等覚えておけよ?無視も立派な虐待だからな!せっかく人間に転生したのに、また若くして死んだら、あの世でマッマにお前等の所業を全部言いつけて呪ってやるからなぁ!


 でも、最低限の衣食住は与えられているし、折檻を受けている訳でもない。そんな状態なら捨てられるよりかはマシ……なのか?正直もう良く分からないし、生きてりゃめっけもんだ。


 そんな事を考えながら、トテトテと、3歳児のペースで今日も日中の根城となっている図書室へと向かう。こうして一人歩きが出来る様になってからは、この世界の常識、知識、それに魔法を覚える為に出歩き、その都度使える知識と魔法を増やしていった。それ以外の場所へは、自由に動く事を禁止されたけど、唯一図書室だけは黙認されていた。


 言語と文字は転生チートを貰えたから、普通に読み・書き・聞くと問題なかったのは助かったよ。今更ゼロから覚えるのは、流石に気持ち的にしんどい。


 あ、そうそう!全然構って貰えない俺だけど、届け出の関係で名前はちゃんと付けてもらっていた。それも、メイドが名前を呼んで知ったと言う有り様。


 その名も“レオン”だぞ!異国情緒がありつつも、覚えやすい名前で良かった。クソ長い名前だったら、絶対に自分で呼称を考えてた案件だった。


 ただ、貴族で3文字の名前は付けないって本に書いてあったけどな!本来なら、レオンハルトとか、少なくとも4文字以上にするらしい。


 これだけを見ても、親父殿の俺への扱いが既に同列では無いと語っていた。むしろ愛する妻を奪った、憎き敵とでもいう所かね。

 でもさ、俺はあなたとマッマが致した結果の産物よ?その責任全部を俺に背負わせるのは、大人として無責任過ぎると思いますがね〜?


 その責任を無視して俺にヘイトを集めるなんて、お里が知れますわよ〜!ド屑親父!





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