第2話 赤ん坊って不便
人間の赤ん坊と言うのは不便な生き物だったんだな。
はっきりした意識がある状況で実体験して初めて知ったよ。
一人では何も出来ない。寝返りさえもまともに打てない。もうメッチャ不便!
だから、こうして泣いて訴えているのに一向に誰も来ない。泣き疲れて寝て、また泣いて。空腹と
そして漸く俺の世話をしに人が来ても、御座なりな仕事しかせずに、そそくさと部屋を出て行ってしまう。
どうやら母の命と引換えに産まれた俺は、奥様大好き?だった親父殿と家人達から既に嫌われているらしい。
俺の世話に来た女の一人が、そう愚痴を独り言で垂れ流していったので、自分の置かれた状況をいち早く知る事となった。俺の世話は罰ゲームみたいな扱いだとさ。
はあ…今回もハードモードの転生らしい。どうせ生まれ変わるならもうちょっとマシな環境に産まれたかったよ。そりゃゴブリンよりかはマシだけどさ。
こんな貴族っぽい家じゃなくて、ごく普通の家庭で良かったんだけどな…。まあ、どこでもネグレクトされたら結局は同じか?同じだな。うん。強く生きよう。
そんな風に考えてしまうのは、俺が前世の記憶を薄っすら持って生まれたからだろう。お陰で、せっかく転生しても0歳からの放置プレイのせいで、魔法がある世界なのに全く心がウキウキしなかった。
だけど、止むに止まれず魔法は使っている。俺が最初から使えた魔法は、今度は転生特典にしては地味で、お受験でもさせられるんじゃ無いか?!と誤解してしまう『学習』と言う魔法だ。
ただ、これのお陰で現在も何とかなっていると言っても過言じゃない。
まあ正直な話、“学習”するまでも無く最初から使えたら良かったのになぁ……とは思ったよ?
そうは言っても解決しないから、世話をしに来るメイドの使う魔法を見て『学習』で覚え、自分に必要な魔法を使い、日々の生活が少しでも快適になる様に頑張っている。まだ0歳なのに結構頑張ってる。薪を担いだ金二郎もびっくりしてると思うよ。
風呂も生まれた時しか入れて貰ってないし、身体も拭いてくれない。オムツで被れて色々痒くなってからは、生活魔法の『クリーン』で綺麗にして『ドライ』で乾燥させる習慣が付いた。ただやはり、ブツをひり出した後はオムツを替えてもらわねばなかなかったので、頑張ってギャン泣きしている。
他の魔法も見れば使える様になるはずだし、色々と応用が効きそうだ。その内にひり出したブツを何処かへやる術を身に着けたい。
それと、早めにトイトレするって心に誓った。さっさとおパンツデビューしよう。
NO MOREオムツだ。
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