幼馴染に振られて公園で泣いていたら、年上金髪ギャルに拾われてペットになった件

@pastry-puff

第1話






「緊張するな僕…きっと成功するさ。あいつだって俺のことを悪くは思っていないはずだ。幼稚園以来10年以上一緒にいるんだ、だから大丈夫だ…」


 今日で2学期最後の学校が終わり、太陽は真上にあるのに12月特有の冷たい風が、自分自身を鼓舞する僕の頬を撫でていた。

 明日から冬休みという今日この日、僕は10年来の幼馴染に想いを伝えようと学校の屋上で幼馴染の小野寺美咲を待っていた。


「はぁ〜寒っ…そろそろ時間のはずなんだけどなぁ…」


 手首にはめた腕時計を数秒ごとに何度もしつこく確認してしまう。当たり前だが、そんなに何回も見ても針は動いてくれない。


「…せめてマフラーとか着てくるんだった…これじゃあ成功しても風邪ひいちゃうよ…」


 ガチャッ


 自身の防寒対策のしてなさに嘆いていると、ついぞや待ち伸びた幼馴染が到着した。軽く走ったからだろうか少し息が上がっていて、白い息を吐いていた。まったく今日も美咲は可愛いな…。


「…はぁ…千冬〜待たせてごめん!」

「僕も今来たとこだし気にしなくて良いよ」


 鼻筋の通った鼻にぱっちりとした目、長いまつげなどのパーツで作られる顔は、まさに地上に舞い降りた天使みたいだった。その上光沢を帯びた甘栗色の長い髪が、白色のふわふわとしたマフラーにかかっていることであざとさまで醸し出していた。


「うぅ…この時期の屋上ってやっぱ寒いね」


 そう言いながら口の前で息を吹き温める姿はリスの様な小動物的愛らしさを感じさせる。


「もう12月の終わりだからね…」

「早いよね〜。私この間入学したばっかだと思ってたのに」


 隣へ目線を向ければ全体的ほっそりとしていて、出るところは出ていて男女共に憧れるであろうプロポーションがあった。制服のスカートは何回か折ってあるのだろうか、16歳という少女とも女性とも捉えられる年齢の艶めかしい太ももがこれでもかというほどに強調されていた。


 好きな人の顔、行動、仕草、言動どれひとつをとっても心が温まる。恋って素敵なものだと思う。


「それで大事な話って?屋上まで呼んだからには相当大事な話でしょ?」

「そうだね…2人とってめちゃくちゃ大事な話だよ」

「なになに〜?」

 

 覚悟を決めて告白しよう、そして僕も今日から恋人持ちになるんだ!告白はシンプルかつ簡潔に、僕みたいなやつがカッコつけてもダサくなるだけだ。


「美咲…お前のことが好きだ!付き合ってくれ!」


 心臓がバクバクする。ここまで緊張したのは人生で初めてかもしれない。どんな返答が来るのかが怖くて、でも成功した時のことを考えてワクワクして心が落ち着かない。


 どのくらい経ったんだろう…数秒、数分、あるいは数時間…?無限も感じる時間が経った気がしなくもない。いや、対して時間は経ってないことは分かってる、僕が落ち着けていないだけだ。


「…えっーと…ごめん…本当に無理。千冬のことは嫌いじゃないけど…恋愛対象としては絶対見れない…本当にごめんね」

「…っ」


 振られたのか…。


「…私用事あるからもう帰るね。千冬も風邪ひいちゃうからはやく家帰りなよ」






 …脳みそがぐちゃぐちゃにシェイクされた気分だ…何か言ってたんだろうけど全く覚えていない。夢だったりしないかなって頬っぺたが真っ赤になるくらいまでつねった。ただ、そうしても虚しくなるだけだった…。


「…本当に好きだったんだな…僕」


 雪が僕を慰めるかの様にしんしんと降り始めてきた。…せめて雨ならこの悲しみを拭って、頬を伝う涙を隠してくれるのに…。





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