第7話

「入って。」

「…ごめん。」

「どんな気分だった?」

「真っ暗になった。頭真っ白になった。」

「どっちが上?」

音羽おとは

「わかったならいいよ。」

「ごめん。」

「だからいいって。」


「……。」


僕が黙り込むと、音羽は僕を包み込んでくれた。


追い出されて10分くらいドアを叩き続けて電話かけ続けた。



「戻りたい?」

「……。」

「そんなに可愛い?」

「でも、もう傷つきたくない。」

「私ならちゃんとご飯くらい作る。当たり前に。一緒にも食べてあげる。飲み物だってちゃんとコップであげる。飲ませて欲しいなら飲ませてあげる。あんたは家畜じゃない。人間。ケージの中で飼われる生き物じゃない。」

「………。」

「大丈夫。もう大丈夫。」

「音羽。」

「ん?」

おんなじ事して…」

「私はしない。」

「…生きた心地がしない。」

「何して欲しいの。」

「…付けて。」


彼女の手のひらを自分の首に当てた。


「私にその趣味は無い。」

「わかった。」


「……」

僕は抑えきれなくなって自分の手首を噛んだ。

彼女は暫くそれを見て、僕の腕を強引に取って歯型に舌を這わせた。


「あんたの苦しみは私の幸せ。」

「え?…」

「やりたい様にやってごらん。あんたのこれ、切った痕でしょ?なんとなく想像はつくから。」

「お前…音羽のこれもそうでしょ?」

「…そうだよ。」


彼女はクスッと笑って答えた。


「こういう痕も好きだけど、やり立ても好き。興奮する。」

「本当に変態。…でも私もそう。あんたのこれ、興奮する。」



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