第8話

本当にこの世界には色んな脳を持った人間がいる。

飛鳥はあの日以来、連絡を一切寄越さない。

でも音羽は3日に1回僕に連絡を寄越して安否確認をしてくれていた。


独りで寂しい夜も話をしてくれていた。

一日でも早く音羽の元に戻りたいと泣いて眠った夜もあった。


でも核となる『飛鳥との日々のいい所』だけが濃く残っててその骨肉となる『その他悲しい日々』に目を閉じていた。


でも明らかに飛鳥に僕以外の人間で且つあいつの支えになるようなヒトが現れたのにあいつを通して解ってしまった。

さすがにそれ以上は耐えられなくて、、


優しい光をくれる音羽の元に戻ってきた。


そしてその優しい光を閉ざされた瞬間、僕は10分以上『ひかり』に繋がるドアを叩き続け、電話を鳴らし続けた…。


多分…一番距離が取れなくて、人との付き合い方が分からないのは僕自身。


でもまるで歯車のように、磁石のように、

僕が音羽を求めると音羽は僕を吸い付け始める。


だから僕はまた沼にはまる。

でも物足りない…。


僕のこのドロドロに溶かされた脳は、

檻の中で首輪と鎖を付けられ、

ネグレクト気味の 飼い主を待つ愚犬に育てられていた。


飼い主の気分で愛されたり空気のように扱われたり、必要ないと言われたり…

それでもなお、埋め込まれた幸せな日々を繰り返し眠りの中で夢を見て溶けていく…。




―――――――――そして辿り着いた地は…

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