第二話『反感覚的現象』
電池男『ビリー』は、
天井からぶら下がった無数のロボットアームが、
その先から、緑色のレーザーを一斉掃射した!!
「くっ、こいつはちと痛そうだな」
ビリーはそう言って歯を食いしばる。
そしてレーザーを全身で浴び……
\\\\\キーンボゴーン!!!!!/////
視界の全てが真っ白になるほどの
辺りが元の光量に戻るまで、約十秒もかかった。
「うおおおおおっ!!!!! 今の光はすごいのぉ! 大鐘社長、計測できたか理論?」
ヘンテコな語尾でそう尋ねるのは天才物理学者、
「おう、亜鈴状博士! もうすぐ数値が出ると思うぜ!」
大鐘大介社長が見た、測定器の表示は……
〈2.751・10^24J〉
「おおおおお!!!!! 二・七五一に掛けることの十の二十四乗ジュール、だと理論!?!? こここ、これは地球が一年間に太陽から受けるあらゆるエネルギーの総量に匹敵する理論!!!!」
「いや亜鈴状博士、その数値すら遥かに超えているみたいだ。測定器はカンストしてる!」
「なるほど、そもそもこんな数値は想定されていないと言うことか理論……恐るべし。あの男の名は……ビリーと言った理論?」
「そう、ビリー・ビリルビン。通称
大鐘大介社長がそう言って強化ガラスの向こう側へ目をやると、ビリーは握り拳から親指を一本突き立てて、なんとも涼しい顔をしている。
「大鐘社長、君はビリーをどうするつもりか理論?」
「亜鈴状博士、俺はこいつを……発電に使ってみようと思う!」
「発電。そうか、それは名案だ理論。だがビリーがその計画に協力するとも限らない理論」
「そこのビリーがダメなら
「
「ま、そこはいいんだよ。というか、そういう亜鈴状博士だって、黒音産業のクローン技術のおかげでこの世に生を受けたようなものだろう? 生みの親同然の黒音産業を否定することは、自分の存在の否定にもなりかねないと思うなあ。そう思わないか理論? あ、ちょっと
大鐘大介社長は、
「そ、それは言わない約束じゃろう……りろん」
「それに、ビリーの場合は、自分で自分のことビリビリ星の住人だとか言ってたから人間じゃないし。宇宙人だし。電池男だし」
大鐘大介社長はそう言ってビリーのいる強化ガラスの部屋の中に入り、
「てことで、遺伝子サンプルとして髪の毛を一本拝借……」
ビリーの髪を引き抜くのだが……
\\\ビリビリビリビリ!!!///
「ははは。学ばないなぁ、お前」
ビリーは、ビリビリしながら微笑した。
●
ビリーを連れて
「大鐘社長。わたくし、そのお話、喜んで引き受けますわ。ただし、条件がありますわ」
「はぁ、条件。と言うと? 何でも言ってくれ」
大鐘大介社長は、儲けのためには手段を選ばない男だ。
「条件はこうです。まず、これは弊社の基本料金ですが、クローン技術の提供料とクローンの製造代、並びにクローンの原材料、それに加えクローンの特許使用料をいただきます。さらにビリー・ビリルビンの存在の秘匿が必要かと思いますが……つまりは口止め料のようなものですわ、どんな方法を使って発電しているのか、競合他社にはばらしたくはないでしょうからね。そして最後にこれが最重要の条件、クローン技術提供の追加報酬として、
「さすが黒音社長、抜かりない条件設定だな。だがこれは
大鐘大介社長は覚悟を決め、そう答えた。
両者は握手し、襤褸物怪電力と黒音産業の業務提携が始まった。
ビリーは、地球人ではないせいか、自身のクローンが生まれることに対し何の抵抗もなかったのであっさり承諾してしまい、早速、ビリーのクローンが大量生産される運びとなった。
大鐘大介社長は、
しかし……
その裏で、奇妙なことが起こっていた。
ある日のニュース。
「——速報です。世界中からゴミが消滅。近年、世界各地で、ゴミが忽然と姿を消す怪奇現象が多発しています。その一例としてここ
ゴミが消えた。
だが……
消えたのは、ゴミのような不要なもの、都合のいいものだけでなかった!
「ちょっと何事なの!? うちの愛車がどこかに消し飛んでしまったわ! 泥棒? でもガレージの鍵はしっかりと閉まっていたわ。防犯カメラにも泥棒らしき姿は映っていないし、車は突然、何の前触れもなく無くなっちゃった! 理解できないわ!」
車が消えた。
さらに……
「いったい誰なんだ!? うちの美術館からヘルフィメールの絵画を盗んだのは!! もしやと思い大怪盗ザコメにも聞いてみたが、自分の仕業ではないと容疑を否認している! アリバイもあった! とにかく犯人よ、早く絵を返してくれぇ!!!!」
高価な絵が消えた。
そしてさらにさらに……
人間
までもが続々と消え始めた!!
世界は未曾有の大混乱に陥った。
〈第三話『
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