12話 ユミ
ユミが来てからしばらくたった。
女の子と違って見えるから、同じように接することが出来なかった。
女の子とは、笑って過ごせたのに、ユミには笑うことが出来なかった。
なんでかは分からないけど。
ある日ユミに、
「カミサマってスキな人いるの?」
って聞かれた。
スキっていうのが分からなかったから、
「スキってなあに?」
って聞いた。
「カミサマなのにそんなことも知らないの?スキって言うのはねぇ、特定の何かに対して特別な感情を持つことだよ!あたしはねぇ、サァチャンがスキー!」
「そうなんだ。」
僕は少し考えた。
「やっぱり、分かんないや。」
「そっかー。」
「ところで、サァチャンっていうのは何?」
「サァチャンはねぇ、あたしの1番のトモダチなの!サァチャンがいれば、それだけで楽しいの!」
「でも、サァチャンは、ここにはいないよ。」
「……。本当は、サァチャンがイケニエになる予定だったんだ。でもサァチャンにいなくなって欲しくなかったからあたしがイケニエになったんだ。」
「ふぅん。」
「サァチャンは、あたしがイケニエになるのに反対してたけどね。サァチャンに絶対に戻ってくるよ、って言ったから。サァチャンに、納得してもらった。」
ユミは、上を向いて話した。
でも聞いたって、なんとも思わなかった。
サァチャンとやらのことも僕は知らないし、ユミのことなんてあまり興味が無いからかな。
隣ではユミが眠っている。
ユミをどうにかして返した方がいいかもしれない。
サァチャンとやらのもとに返した方がいいかもしれない。
ユミといたってなんにもないからなぁ。
僕は、女の子以外に興味が無いんだろうなぁ…。
「……女の子と話したいなぁ。…これがスキって事かなぁ。」
夜に満月を眺めながらそう小さく呟いた。
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