9話 病気

ある日の朝、女の子の体がとても熱くなっていた。

冷やそうと思って、女の子を川まで連れていった。


「すずしいねぇ。」


女の子はそう言って笑ったが、辛そうに見えた。


「顔が真っ赤だよ。大丈夫なの?」


「分かんないなぁ。」


「どうしたら元に戻るの?」


「うーん…。」


女の子は、ははっ……と笑っている。


熱いなら、冷やせばきっと戻るよね。

きっと大丈夫だよね。


「最近ヘビタロウ見ないなぁ。」


「ヘビタロウ?」


「私の友達なんだ!蛇だからね、ヘビタロウ。アンチョクだけどいい名前でしょ。」


「……そうだね。」


女の子は、僕がヘビタロウだということを知らない。


いつかは言おう。

僕は本当はカミサマなんかじゃなくって蛇なんだって。

ただの蛇だって。


でも、いつまでたっても女の子は戻らなかった。

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