1日目 社会と宇宙人

「こんにちはー。社会始めるぞー。キリーつ、レイ。えーと、このクラスには転校生が来たんだったかな、俺の名前は、熊山だ。社会を担当している。好きな物は、クマの木彫り人形だ。家に数十体はある。この間また増えた。宜しくな。はいじゃぁ授業始めるぞ。今はえーとどこまで進んだかな、」


「先生!ローリン教の所です!」


誰かが言った。


「あぁ、そうだったな。前回は、ローリン教の教祖の事をやったから、今回は、ローリン教とその広がりに着いてだな。教科書135ページを開いてください。プリントを配ります。」


熊山先生は、「ローリン教とその広がり」と書かれたプリントを配った。


「ローリン教が世界各地に広まったのは、世界中の人が病気等で死んだ後に楽園に行きたいと思ったからで............。」



「社会どうだった?」


「先生の見た目がとっても怖かった。」


縷切はそう答えた。


「でもめっちゃ優しくて面白かった。」


「良かったぁ。」


僕は、ほっとした。


「あの先生は、あの見た目だけどほかのどの先生よりも優しいんだ。どっかの誰かさんが、宿題を間違えて燃やしてしまっても怒らなかったんだ。」


僕は、文作を見ながら言った。


「それはしょうがないだろ。いい焚き火が中々できなかったんだからな!」


「プリントで焚き火すんなよ。」


「ぅぐっ。」


文作は、心身的ダメージを負った。


「それは優しいね!………………焚き火……。」


縷切は、焚き火という単語にびっくりしている。


「それはそうと、次は体育だろ。大丈夫か?山桃苦手だろ?」


「山桃くん苦手なの?僕持病?があるから体育出来ないんだ…。一緒に見学しよう!」


「別に苦手って訳じゃないんだけど……。まぁ、色々あるから体育できないんだよね。一緒に休も!」


「じゃあ2人はそのまま直で体育館に行くんだな。じゃあな。」


そう言って文作は教室を出ていった。



「体操服に着替えなくていいの?」


体育館に向かっている途中、縷切が言った。


「体育やらないのに着る必要ないだろって校長先生の方針で無いらしいよ。縷切くんも体操服買ってないでしょ?」


「確かに…。何気に今気づいたかも。そういえば、山桃くんはどうして休みなの?」


「………………。あっ、えっと、色々あって…………?あっもうすぐ体育館だよ!」


僕は、走った。


「あっ!待ってー!」


そうして体育館へいった。



「それじゃー、みんな揃ったな!体育を始めるぞ〜!そういえば、転校生が居るんだったな!体育教師の棚村深雪(たなむら みゆき)だ!棚に村に深い雪って書いてそう読むぞ!ガッハッハッ!宜しくな!今度こそ始めるぞ〜!きりーつ!気を付け!礼!」


縷切が口を開いた。


「愉快な先生だねぇ。」


「そうだねぇ。」


誰かが言った。


「そうですな。」


………。


「いや、マジで誰っ!」


「吾輩は宇宙人の恩田実(おんだ みのる)であります。よろしくお願いいたす。こちらは、我輩の親友の鬱くん(うつくん)であります。」


「コクッ、コクコク、」


「鬱くんは記憶喪失の為喋れないのであります。」


「そうなんだ。よろしくね恩田くん、鬱くん。」


濃ゆいなぁ…。


「吾輩、運動神経良すぎて逆に体育やらせて貰えないのであります。鬱くんは記憶喪失なので…。其方はどのような理由でお休みに?」


「僕は、運動したらすごく動悸や息切れが出て…。体もすごく弱いから。」


「僕は、運動出来はするんだけど、色々と事情やトラウマがあって…。」


「そうであったか。それは失礼。」


「宇宙人ってどういう事?」


「思い切りすぎじゃない?縷切くん、誰にだって特異なものになりたい時期はあるよ!」


「宇宙人は宇宙人である。正確に言えば祖先が宇宙人と人間のハーフで………なので吾輩も宇宙人である。」


「いやいや宇宙人って……。」


「宇宙人は寿命が他の人よりも多いのであるぞ。」


「すげぇ!!」


「さらにさらに頭の上のこの触角で宇宙と交信しているのである。」


そう言うと恩田は、頭の上に2つある球体を触った。


「これが触角……?」


「正確に言えばこれは交信するためのものである。この球体と体を繋ぐ紐があってそれが触角である。」


「そのぐるぐるメガネも宇宙人と関係があるの?」


縷切は恩田にそう言った。


「このメガネはですな、視力を抑える効果があるのである。宇宙人はちょっと遠くが見えすぎてしまうのである。」


「他は他は?」


「実はメガネをとると超美形……。」


しばらく恩田達と話をしていると、チャイムがなった。


「おもしろい話また聞かせてね!」


僕は、恩田にそう言った。


「うむっ!さらばだ。」


恩田は、そう言って手を振った。


「ばいばーい!」


僕は、縷切と一緒にクラスへ戻った。

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