第31話
ソォーンは俺にソファを勧めて、自分は向かいに腰を下ろした。
「一平くん、私の下で働くのはどうかな?」
「は?」
「チャドがね、君のことをなかなかできる男だって言うから。ちょっと私も興味が湧いてきてね」
チャドが?俺をできる男って言ってるって?
何を上から言ってるんだ、エラそうに!
「今はガールズバーでバイトしてるんだろう?そんな収入じゃ暮らしていけないだろう」
「いや、ある人のお世話になってるんで、大丈夫です」
「
ふ~ん、知っているのか…。
「そうです。だから、金なんて無くてもいいんです」
「そんな格好してるのに?」
う…。そこを突いてくるか…。
確かに、ヨレヨレのジーンズとシャツ、これが俺の一張羅だ。Chat Noirでは制服が支給されるし、必要性をあまり感じなかったが、新しい服を買うべきだった…。
「いや、忙しくて買い物に行けなかっただけで…」
「礼王のところに居られると迷惑なんだよ」
「は?」
さっきの慇懃さが嘘のように、獰猛な顔つきになっている。これがソォーンの本性か…。
「礼王はいずれ堅銀がスポンサーになってデビューさせる予定なんだ。お前みたいな男が一緒に住んでるなんて、妙な噂を流されては困る」
Chat Noirのスタッフはみんな、俺が礼王のマンションに住んでるって知ってるけど。もちろん、変な関係じゃないこともわかってるはずだ。
「礼王をデビューさせるって、それは礼王の意思を確認して言ってるんですか?」
「礼王の意思?面白いこと言うねぇ」
「何故、本人の意思を聞かないで勝手なこと言うんだよ?」
「一平くん、君は何も知らないんだろ?私が
「知らねぇよ!アンタがどんな存在でも、人の将来勝手に決める権利なんて無いだろう!」
「ふふふ…。熱いねぇ…。君みたいなタイプ、よくいるよね。すぐ熱くなるけど、頭の中は空っぽだ。何のビジョンも無い」
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