第27話
「一平
空気を読まないヤツが店に来た。
「お前と違って、俺はいつも静かだよ。ほっとけ、俺は忙しいんだ」
「どこが?さっきからぼ~っとして、同じところばっかり拭いてんじゃん」
「汚れがなかなか取れなかっただけ。女の子と酒飲んでろ!俺のことに構うな」
「カリカリしてるね…。何かあった?」
「別に…」
チャドのやつ、いつものように女の子にちょっかい出して、きゃっきゃしてればいいのに、何故か俺のそばから消えてくれない。
「SSJはどうだった?」
「ん?」
「デート行ったんでしょ?」
なんでこいつSSJに行ったって知ってんの?
「楽しかった?」
「いや、ジェットコースターが、こ…何でもない…。楽しかったよ」
危なかった。危うくジェットコースターが怖かったって言うところだった。背中に冷や汗が流れる。
「え?楽しかった?あ…そうなんだ…何もなかった…?」
こいつ、何を聞きたいんだ?変なやつだ…。
「他に、何か無かったの?ね、デートなんだから、何か楽しいことあったでしょ?」
礼王がこちらに来た。
「チャド、アンタに歌ってほしいって言ってる
「ちょっとレオちゃ〜ん!そんな怖い顔したら、可愛いの台無しだよぉ。スマイル、スマイル〜!」
「アタシの顔のことはほっといて。アンタにとやかく言われたくない」
「もぉ〜、冷たいんだから〜!そこがいいんだけどね…」
ようやくチャドはキャストの女の子達がたむろっているカラオケの方に向かった。女の子達は黄色い声で迎える。この間のカラオケが上手かったことでだいぶ株を上げたらしい。
礼王は怖い顔でチラッとこちらを見てから、また向こうへ戻って行った。
俺、何かした?いや、したのか…。いや、あれはしたんじゃなく、されたんだ。俺は悪くない!不可抗力だ!
いや、やっぱり俺が悪いのか…?
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