第24話
「夜のお店でアルバイトなんて、危ないんじゃないかしら?」
「どうして俺にそんな相談を…?母親なんだから、やめたほうが良いと思うなら、そう伝えればいいじゃないですか」
あ、俺、憧れの那愛魔になんて冷たい言い方しちゃったんだろう…。
「あ、あの、
「一平さんは事情を知らないから、そんなことが言えるのよ!」
ややヒステリックに那愛魔が答えた。
「事情…?どんな事情が…?」
那愛魔はしまった、というように口をつぐんで、しばらく俯いて悩んでいるようだったが、やがて顔をあげた。
「あなたのお話が本当なら、あなたはこの世界の人間ではないってことよね?」
「そうです。信じてもらえないでしょうけど…」
「それなら、あなたはこの世界でのしがらみとは無縁ってこと?私の秘密を知ってもあなたが何か利益を得るようなことはないのよね?」
「俺の世界にも那愛魔はいるんです。おそらくあなたとは別人なんでしょうけど、やっぱり素晴らしい歌姫です。俺はそんな那愛魔のファンなんです。俺は、純粋な気持ちで、あなたの力になりたいです。もし、俺なんかが力になれるのなら…」
那愛魔はしばらく無言で俺を見つめた。それから、静かに話し始めた。
「私、1年前から歌えなくなったんです」
「え…?」
そんなバカな。那愛魔は最近も新曲を出してるし、コンサートだって開いている。
「CDもコンサートも、歌ってるのは私じゃないの。礼王が歌ってるのよ」
え〜〜〜っ!?
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