第17話
「次はいよいよ最終ラウンド!第3ラウンドは、カラオケ対決で〜す!」
やっぱり!イヤな予感的中!
俺は決して音痴ではない(絶対に!)
だがしかし、俺は人前で歌なんか歌うもんじゃないと言って育てられた世代なんだ!(そんな世代はない?はて?)
しかもこっちの世界の歌なんて知らんぞ。多分…。
「Mr.チャド、選曲をお願いしま〜す!」
ダーツで勝ったチャドが先攻だ。どんな曲を選ぶのか…。
チャドの選んだ曲は、やっぱり俺の知らない曲だった。
そして、チャドは歌も上手かった。
ヤバい…。何を歌えばいいのか?
もうダメだと情けない気持ちで、
相変わらずこの対決に興味なさそうなつまらなさそうな顔だ。
なんか腹立って来た。別にこの勝負勝たなきゃいけない理由なんてないのだ。ただカラオケを楽しむおっさんでいいじゃないか!
そう思うと、なんだか気が楽になってきた。よし、楽しんでやろうじゃないか!
そうだ、俺の愛するシンガー
那愛魔は、高音も素晴らしいけど、低音を聴かせるパートが俺は好きなんだ。そこなら上手く歌えると思うし、高音部分は、キーを下げて歌えばいいさ。
俺はキャストに曲を告げた。
「それでは、Mr.一平に歌っていただきます!那愛魔の”midnight glow“」
静かなイントロに続いて、低音で曲は始まる。
ここはいつも上手く歌える。そして間奏。間奏あけのサビはいきなりオクターブ上がるが、ここで声が出なくなるのだ。
間奏が終わろうとする時、突然 礼王が立ち上がって、チャドのそばに行った。
礼王は、チャドの前に置かれたマイクを取り上げ、オンにして、いきなり高音パートを歌い始めた。
びっくりして、歌うのを忘れかけたが、あわてて俺もキーを下げて歌う。だが、歌いながら鳥肌が立っていた。
これは…。まるで那愛魔が歌っているみたいだった。
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