第15話
「第1ラウンド、腕ずもうは、Mr.一平の勝利で〜す!」
ラウンドガールが俺のボードを持って歩き回る。鳴り止まない拍手に、俺のプライドはむくむく大きくなっていった。負ける気がしない!
「第2ラウンド、ダーツ対決で〜す!」
うんうん、やっぱりそうきたか。俺のスポーツ万能を舐めるなよ!
ダーツなんか、オチャノコサイサイだ!いち、に、さん、ダー!
「ダーツの公式ルールはややこしいので、シンプルに高得点を狙って、交互に1本だけ投げてもらいます。3回ずつ投げて合計点で勝敗を決めます」
この店の独自ルールらしく、さっきからコールをしてくれているキャストの女の子がそう告げた。
ダーツの公式ルールなんか、俺も知らないから(というか、そんなルールの存在すら知らんかった…)、シンプルで助かった…。
というわけで、さっき勝った俺が先攻となった。
一番高得点といえば、20のトリプルで60点だが、ここを狙うのは結構難しい。やっぱり真ん中のダブルブルを狙うのがいいだろう。気負った俺が放った1本目のダーツは、上にそれて、20のダブルで40点だった。はずれたが、ラッキーだった。トリプルだったらすごかったのだが、まぁ悪くないだろう。
ドヤっという顔でチャドの方をみると、いつになく真剣な顔だ。どうした?惚れてまうやろ…。冗談だが…。
右足をラインのギリギリに置いて、身体を乗り出し、顔のそばで構えた手を軽く振り出す。ずいぶん慣れた様子だな…。
と思っていたら、軽くダブルブルに当てた。
「Mr.チャド、ダブルブルで50点で〜す!」
歓声がすごくて、耳が聴こえなくなったような気がする。
くそっ!俺だって負けてられるか!
次に投げたダーツは左下にそれて、16のシングルに当たった。
あ~、これは負けたかな?
また礼王の方をチラッと見ると、興味なさそうに爪を見ている。
チャドとデートってことになっても俺は知らんぞ!
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