第11話

「なんか、ものすご〜く背筋がゾワッとした…」

「わかるよ…。わかるけど、撃っちゃダメ!!そんな悪いやつじゃないから…」

礼王レオはしぶしぶ銃を持った手をを下げた。


「やだなぁ、レオちゃん、テレ隠しに銃で狙うなんて、もしかしてSなんでしょ?オレ、Mじゃないけど、冷たいのもキライじゃないな…気が合っちゃうね〜」


チャッ!また礼王が構えたので、俺はあわてて腕を押さえた。


「おい、チャドって言ったよな?礼王は本気で撃つぞ。これ以上のチャラトークは、命が危ない」

「え〜、なんで怒ってんの?可愛いよって、言ってるだけなのに…」

「お前のチャラトークは、危険なんだよ!何故か、人の怒りのツボを刺激する」

「何言ってんのかな…訳わかんねぇな〜」

「悪いことは言わない、今日のところはもう帰ってくれ」

チャドは、首をかしげながら、「じゃあ、今日は帰るけど、また会おうね〜!また”Chat Noir“に行くからね〜!」


礼王は、チャドが見えなくなるまで、銃をしまわなかった。



その後、チャドは店に来ているようだったが、たまたま礼王とは顔を合わせてないらしい。平穏無事に週末を迎えた。

礼王は、大量の衣装を引っ張り出してきて、リビングの大きな鏡の前で取っ替え引っ替え合わせてみている。

俺はソファにだらしなくゴロンとして、それを眺めている。


「ねぇ、礼王はさ、金持ちなんだろ?」

那愛魔ナアマの財力、なめないでよね…」礼王は衣装に集中していて、俺への返事はおざなりだ。

「なのに、なんで”Chat Noir“でバイトしてるのかなって思って…」

「面白いじゃない…」

「面白い?」

「男って、面白いくらい、こっちの思い通りの反応だからさ…」

「それ、危ないな…。思ってもない反応してくるやつもいるよ。なめてたら、ヤバいよ」

「わかってるって。それより、衣装どれがいいか、ちょっと見て!」

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