第9話
これで、例のチャラ男の星人を探しながら、この世界で暮らしていくためのお金を稼ぐ道筋が見えてきた。
ってか、なんかこの世界に馴染んでないか、俺?
いつか自分の世界に帰らなきゃいけないだろう。う~む、帰りたいんだろうか?自分でもよくわからない…。とりあえず今できることをやるしかないだろ?
それからしばらく、チャラ男は店に現れなかった。
俺は黙々と仕事をこなした。ドリンクやフードの準備、買い出し、ホールやキッチンの清掃、トイレの清掃から、クレーム対応まで…。
強面ではないと思うのだが、ガタイはいい方だからか、酔って行儀が悪くなった客たちは、俺がどうしましたかと声をかけるだけで退散していった。
おかげでキャストの女の子たちに一平さん、一平さんと頼りにされるようになり、俺は鼻の下を伸ばし放題だ。
だが、時々刺すような礼王の視線が痛い時もある。
「ねぇ、一平。ちょっと最近調子乗ってない?」
「いやいや、全然調子に乗ってないですよ」
「なんか、その感じがムカつくのよね…」
あれ?嫉妬してるのかなぁ?ごめんね、モテちゃって…
「何、そのドヤ顔?モテてるわけじゃないけど、わかってる?」
「はいはい、大丈夫、大丈夫。礼王が一番かわいいから…」
「はぁっ!?バカじゃないの」
あきれたように、礼王は接客に戻って行った。
その時、例のチャラ男星人が店に入ってきた。
俺は、キャストのサポートをしながら、様子を窺った。
やつは、前回同様、女の子にやたら接触しようとするいやらしい飲み方をしている。相変わらずいけ好かないやつだ。
また1時間ほど飲んでキャッキャッはしゃいでいるのを横目で見ていると、ようやくチャラ男星人が会計に向かった。
やつが店を出たので、後を追って俺も店を出た。
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