第6話

ソファでウトウトしていたら、礼王レオが濡れた髪をタオルで拭きながら、リビングに戻ってきた。


「おいっ!なんちゅう格好してんだ!」

「何が悪いのよ?」

「ヘソ丸出しじゃないかっ!」

これはパジャマなのか?ほとんど水着かと思うような布地の少なさだ…

礼王はニヤニヤ笑いながら、俺の隣にドンっと勢いよく座り、身体を寄せて耳元で囁いた。

「どうしたの?もしかしていやらしい気分になってるんじゃないよね?」

「まさか…」


礼王は、身体を離して座り直し、真面目な顔をして

「やっぱり一平は紳士だと思った」と言った。

それから、うつむいて

「私ね、お父さんに会ったことないんだ…」と言い始めた。

そっと礼王の様子を窺うと、どうやら涙ぐんでいるようだ。

「ママって、ほら、取っ替え引っ替えでしよ?きっとママにも誰が私のパパかわかってないのよ」

「そんなことないよ。きっと礼王のパパだけは特別だったんだと思うよ」

「ホントにそう思う?」

涙でいっぱいの瞳で見つめられて、ちょっとドキドキしながら、

「うん、そう思うよ」と言うと、礼王は急に抱きついてきた。シャンプーのいい匂い…。

「ねぇ一平、私、お父さんみたいな男の人に憧れがあるの。」

礼王の顔がすぐ目の前にある。長いまつ毛に涙がキラキラと光っている。

「一平は私のことどう思う?」

「いや、どうって言われても…」モゴモゴと口ごもっていると、礼王は目をつむって、唇を寄せてきた。

え、どうしたらいいの?俺は紳士でいるべきなのか?

礼王が俺を好きなんなら、その気持ちに応えるべきなんだろうか…

何迷ってるんだ!好きって言われてるんだから、答えてあげるべきだろ?そうに決まってる!

俺もそっと目をつむった。


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