第3話
こいつが
にわかに殺意が湧いてくる。こんなチャラ男が、なんで…
那愛魔、趣味が悪すぎるだろ…
だが、嫉妬している場合ではない。
こいつが怪しいと
とにかく、このチャラ男が店を出たら、俺も動き出さなくては…
緊張し始めて、顔が怖くなっていたのか、目の前で接客していたキャストの子が席を外したそうにもじもじし始めた。
「あ、俺、自分で飲んでるから、他に行ってくれてかまわないよ」
「そういうわけには…」
「いいから、いいから…むしろ、1人にしてくれ」
と言うと、ムッとしたのか、ドリンクも奢らないなんて…みたいなことを呟きながら、キャストは退席した。
1人になってホッとして、少し落ち着きを取り戻し、俺はチャラ男の様子をそれとなく窺った。
チャラ男は酒を飲むより、女の子の手を触ったり頬や額に手を当てたり、といちゃいちゃすることを目的としているらしい。
また、怒りがムラムラと湧いてくる。
冷静にならなくては…
チャラ男がダーツやカラオケを楽しんでいるのを虚しくながめながら、1時間ほど我慢していると、ようやくやつが店を出て行った。
あわてて俺も会計を済ませて外に出る。
信号を渡ろうとしているチャラ男を見つけて、跡を追った。
やつは、酔ってるとは思えないしっかりした足取りで、スタスタと歩いている。
俺も早足でついていかないと、置いて行かれそうだ。
チャラ男が角を曲がったので、俺も急いで角まで走り、建物にかくれながら様子を窺った。
ん?
どこへ行った?
あいつの姿は影も形もない。
道はまっすぐで隠れるところはないはずなのに、チャラ男の姿は完全に消えてしまっていた。
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